雷の発生と避難方法

2003.6.23.YMCC学習会

雷とは
 大気中でおこる放電現象。これにともなって発する光を稲光、稲妻といい、音を雷鳴という。雷とはこれらを含めた現象である。雷雲内部では雲の底近くがマイナス、雲の上部近くにはプラスの電気があり、その間を通って大量の電子が地面に移動する現象が落雷である。

雷の発生
 雷雲は上部に冷たい密度の高い空気が存在し、下部に暖かい温度の高い空気が存在して、その雨や氷の粒が激しくぶつかりあい、電気がたまり、雲の中で放電したり、地上に落下したりする。

雷の種類
*熱雷  強い日差しにより地表面が熱せられて、強い上昇気流となって、積乱雲が発達し、雷がおきる。夏期に発生することが多く、最も代表的な雷で2〜3日続く。
* 界雷  発達した低気圧や寒冷前線が通る時に発生する。年間を通じて発生し、長くても1〜2時間しか続かない。
* 熱界雷  熱雷と界雷が一緒に発生する雷。大雷雨が長時間続く非常に危険な雷。
* 渦雷  低気圧中に発生する雷。
* 火山雷  火山の噴火によってはるか上空に噴出された細かい岩石がこすれあって電気を帯びて雷になる。

雷撃の種類
* 直接雷  雷放電に基づく電流の大部分が物件を通過する雷。最も大きな被害を受ける。
* 側撃雷  雷の主放電路から分岐した放電路が物件を通る場合及び高い樹木などに落雷し、付近の物件に再放電する場合のこと。被害度は直接雷より小さい。
* 誘導雷  物件に誘導された電荷が大地に向かって流出し、物件と大地間に放電を生ずる。確率として直接雷より度数が多いが、被害度は小さい。
* 侵入雷  送電線や配電線に落雷した場合、雷電流が導体上を進行して物件に到達し、その内部で大地に向かって放電する場合。比較的遠くに落雷しても、人家や工場などで被害を受ける。

雷のサイン
* 朝から日差しが強く、下界の雲海の流れが早くから始まって、午前中から3000M級の稜線までガスがかかるようになると注意。
* 山の山腹や山麓(山間部)で、午前中から水蒸気が多くなって、視界がボヤけて悪くなってきたら注意。
* 盛夏期にもかかわらず、早朝から秋空のように青く澄みきった空の状態になっている時は注意。これは上空に冷たい空気が入ってきているということ。
* 各地の天気予報で「雷雨」という予報が出ていたら一応注意。
* AMラジオや無線にノイズが入るようになったら注意。逆にラジオを使って雷をチェックする。雷の発生が予想されたり、接近が予報されたら、手持ちの携帯ラジオのスイッチを入れ、空電の有無をチェックしてみる。そのノイズの間隔から雷の近さを判断することもできる。

雷の避難方法(雷にあってしまったら・・・)
* 安全な場所  野外で雷を避ける時の安全な場所とは、地物の仰角45度以内、地物から2m以上離れたところ。
* 避難姿勢  安全な場所に避難したら、姿勢を低くして、頭より高く物をかざさないように注意する。
* 避けるべき場所 雨水溝のような所は避けること。山頂、岩稜、岩場、水場のようなところは特に注意が必要。また、野外避難時には、直接地面に触れないように注意。必ずハイマツやザックなどの上に座ること。
* 分散して避難  パーティが多勢の時は、被害が大きくなるのを避けるために分散して避難。
* 爆風に注意  雷の直撃を受けなくても、爆風にとばされて二次的災害を受ける場合がある。細い稜線や凸地は避けて、体が飛ばされてもなるべく衝撃を受けない場所に避難する。
* 建物の中  小屋の壁・柱などに直接触れないで、2m位の距離をとるようにしよう。
* 人体への落雷
  ・ 体内電流  全電流が体内に流れるもので、内臓に電流が流れるために、呼吸停止や心停止などを起こして死亡する確率が非常に高い。
  ・ 部分沿面放電  体内電流とともに部分的に体外に電流が流れるもので、実際にはこのタイプの落雷が一番多く起きている。被害者の80%は死亡してしまう。
  ・ 沿面放電  電流のほとんどが体外に流れる。電流が流れた部分は軽い火傷をするが、内蔵には電流が流れないために、死亡は免れる例が多い。

                         (ヤマケイ山の気象学他参照)

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