連盟の中級登山学校において、雪上搬出訓練が伊吹山にて実施された。今回はアシスタントコーチの中で、リーダーをつとめる順番にあたり、27日(水)の座学後にミーティングをし、装備、食糧計画等を決めた。
問題はビーコンの手配であった。救助隊の訓練と日程が重なっていることもあり、借りるのは無理かなと危うかったが、会のN川さんよりビーコン1ヶゾンデ棒1本、M本さんよりビーコン1ヶを拝借できることになり、自分の中で山行目的もハッキリとらえることができた。
ビーコン、ゾンデ棒は高価なものであるが、スコップとともに「三種の神器」とうたわれており、冬山に臨む人々は勿論認識されているはずなのに、「ないのなら仕方ない」と早急に結論を出すのはどうかな?と感じる。
1月30日(土)
8:00 JR森ノ宮。インフルエンザの流行は現実で、当日数人の欠席され、アシスタントも計6名となる。
11:00 真っ白な冠を被った伊吹山がデンと見えるやいなや、バスを降りゴンドラに向かう。「往復のチケットを買おう」とY沢さんはニコニコ話される。3合目トイレの側でテントを張る。
12:00 スキーコースより離れた積雪の多い場所で、埋没体験用の深さ1m、そして横へ50cm掘る作業。埋没者は無線を片手に呼吸の空洞を確保しながら、上からのコールを聞き取る。捜索者は雪面に耳を当てて、埋没者の声を聞き取る。すぐ上ならよく聞こえるが、50cm離れるともう聞こえない。そして、ゾンデ棒で人体の感触をつかんでみる。生徒さんが終わってから、アシスタントも体験してみるが、上からのコールも遠ざかる足音もよく聞こえる。掘り出される時、逆に被せられているような感覚があった。
14:30 アシスタントは2班に分かれ、私達はY沢式ザイル担架及び梱包。Y沢式は、最初の3目を3段目より4目増して3段毎にころしていく。それを22〜23段編む。梱包はツェルトで20mの6oシュリンゲを別に用意しておいて包んでいく。でも持ち手はザイル担架より直接とるので、ツェルトでキチッと包むことはできない。
15:30 訓練はまだまだ続く。背負いの引き上げ引き下ろし、V字でなくザイル1本確保1本でしたこともあり、全く順調にいかない。夕暮れの冷たい風の中、中途半端で終了。17:00
テントに戻り、暖かいお鍋の夕食となる。19:00よりミーティングとおっしゃっていたが、その気配全くなく、21:00になってしまったので、明日は予定通りと思って就寝。ところが、22:00過ぎ、アシスタントは明日生徒より30分早く起きて、6:30出発。伊吹山アタックしてビーコン埋めるという知らせが入る。
今夜のスキー場はオールナイトで、23:00まで音楽が鳴り、ライトは一晩中コーコーと照らされていた。
1月31日(日)
4:45 起床するが、6:10 Y沢さんは「先に行く」とおっしゃって、もう出発される。
6:20 せかされて私達も出発。トレースつけてくださったので、ほのぼの明るくなる頃、一緒になる。
6:40 5合目小屋。小休止してすぐ出発。途中よりI庄さんがトップでラッセル。
7:40 8合目小屋。風もなく穏やかな登山日和となりそうなお天気。小屋左側の斜面を登る。アイゼンはつけていないが、蹴り込んで確実に登る。
8:00 9合目に着き、Y沢さんはピッケルで雪面にビーコンを埋める地図を描いてくださる。真剣に見ていたら、いつの間にかドラエもんの顔になっていた!? 遊歩道に出て1ヶ所、頂上付近で2ヶ所、ビーコンを埋める。途中、雪庇のところで踏み抜きして、滑落停止?と称して雪と遊ぶ。
9:10 生徒さん達も登ってきて、ビーコン捜索を見守る。I東さんがアシスタントにいけないところを指摘するようにおっしゃる。「ザックは置いて」「見張りを置く」「安全確認」「デブリの末端から」等。アシスタントも3ヶ目のビーコン捜索をしたが、12分もかかってしまった。
11:20 9合目まで下り、斜面に平坦地を作って搬出作業。ザイル担架を編み、梱包まで1時間もかかってしまった。
12:30 引き下ろしへ。確保は2人で交替。搬出隊は4人。今日はまさしく雲一つない快晴で次から次へと登山者があり、雪がボコボコで歩きにくいわ、その雪でブレーキがかかり確保ザイルはゆるんだままだわ、大声で叫んでも届かないわ、そのうち負傷者のザイルが顔に当たるわ、7合目近くでタイムオーバー。終了とする。13:00
3合目テンバまで下山して、再度ゴンドラで下る。バス乗車の約束時間(16:00)より早く下山してしまったが、連絡はとれず待ちぼうけ。その間"お疲れさま"乾杯の音頭が響いていた。
今回の訓練はお天気が良すぎて、実際より全くかけ離れた環境だったように思うが、繰り返しトレーニングして身につけてゆくものだから・・・と思っておこう。
また、順番で回ってきたリーダー役であったが、諸先輩の中、いろいろ助力をいただき、手厚く守られながら終えることができた。何よりもお天気に恵まれたことが、皆の気持ちに余裕が生まれ、ラッキーに繋がっていったこと、快晴の青空に感謝している。
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