富士を抱き聖・光の夏を行く

2014.7.25.〜28.

梅雨明けて山へ行くなら今でしょ!
 憧れの南アルプスへ。
 当初は夜行バス利用で北岳塩見岳を考えていたが、広河原までのバス運行中止のため、車利用での聖岳光岳となった。
 御嶽山同様、会友のT歳さんと。
 易老渡(いろうど)までのダートな道が心配だったが、遠山郷へ問い合わせて、GO!

7月25日(金)晴れ
 昨夜JR石山駅21:15だったので、早くも尾張一宮PAにて仮眠。ラッキーにも垣根で隠れるスペースがあった。しかし工事の音が…

 5:00 車を走らせ、中央道飯田ICより伊那街道、グネグネややこしいダートな道を湘南ナンバーの後ろについてグイグイ上り易老渡へ。ここまででもうすでに「きた〜!」という不思議な達成感! すでに駐車場はいっぱい。

 8:30 易老渡(880M)出発。林道を歩いて、便ヶ島広場(970m)には整備された駐車場があった。トホホ。
 9:00 崩壊しているややこしい林道を行くと、西沢渡りには人力ロープウエイ、メチャ重い!ロープに巻き込まれないように注意!前のグループは一人落ちかける!危ない!

 9:30 ここから急登。ずっと樹林帯。ムシムシして暑く涼風も通らない。でも太陽直接だったら、ばてていたかも… 100m毎に標高の標識あり。
 12:40 苔平。ギンリョウソウが咲き、倒木も苔だらけ。木漏れ日が時々明るく見えて静かな雰囲気にホッとする。でもシダと苔むした道がまだまだ続く。

 14:20 やっとやっと薊畑(あざみばた2390M)。パァーと視界が広がり、青空いっぱい。縦走路も光岳の方へ広がる。6時間で標高差1500M。よく頑張った!

お花畑再生といふ強き意志
 お花畑の縦走路を少し下って聖平小屋へ。かつて聖平一帯はニッコウキスゲのお花畑だった。が、鹿の食害により絶滅。鹿の食害を防いだ場合、ニッコウキスゲは復活するのか、実態調査のため防護柵が設置されていた。こんな山深いところにも寂しい現実。

 縦走路と別れて聖平小屋へ続く道は木道がひかれていれ、バックにその名の通り聖岳がぽっかり。Oh!Wonderful!

 15:30 今日は素泊まり。小屋サービスの杏仁豆腐をよばれて、乾杯して、持参のフリーズドライのご飯とスープの夕食を終えると、もうバッタン!
 17:00 横になると一気に睡魔が襲ってきた。結局11時間熟睡だった。

7月26日(土)晴れ
 5:00 小屋前のデッキからご来光を拝む。今日もいい天気!
 薊畑から聖岳へピストン。清々しい風が吹き抜け、眼前に聖岳を見ながら気持ちよく歩ける。南アルプスの山は大きいと思ってはいたが、大きいというよりデカイ!

 6:10 小聖岳(2662M)からどっしりどでかい聖岳を眺める。太陽眩しく、まもなく富士山のシルエットが右手に現れた。美しい!そして大きい!
 キバナシャクナゲの群生が今を盛りと咲き乱れ、ミヤマキンポウゲ、カラマツソウと色とりどり…

聖岳キバナシャクナゲに導かれ

 7:20 聖岳(3013M)。すべて展望良し!爽快!雄大! 奥聖岳、赤石岳、悪沢岳、そして富士山/^o^\

 奥聖岳へはチングルマのお花畑の中を行く。
 7:40 奥聖岳(2978M)からの富士山はより断然大きい。見事!

 いつまでもここにいたい気分だけど、しぶしぶ下山。そう、深田久弥も「1時間以上いて、あきることがなかった」と。
 薊畑から南へ縦走路をとる。
 12:40 縦走路から上河内岳(2803M)へ往復30分。ガスに覆われ、残念…

 時々見える富士山がだんだん大きくなる。

富士の山ドンドン大きく夏を行く
 15:00 縦走路からガンガン下って茶臼小屋。
 ここでも鹿?の防護柵設置の方々が集まっている。
 夕食までには時間があるので、ティータイム。隣り合わせたグループは静岡県相良クラブの男性3名。新人とベテランの方々で話が弾む。そうね、ここは静岡県の北の端。南アまではすぐだって。いいなぁ〜
 今日は夕食付小屋泊。越冬ビール250円で乾杯!夕食はなんとマグロお刺身。寝具は寝袋だけど、myシュラフカバーでいいので借りなかった。

7月27日(日)くもりのち晴れ一時雨
 5:20 出発。
 縦走路まで上ると、スゴイ風! 雨具を着て、縦走路を行く。茶臼岳までは岩稜帯の吹きさらしだけど、頂上を超えると、樹林帯に入る。暫くのガマン。
 6:00 茶臼岳(2604M)。当然ながら何も見えず、ガスの中。
 樹林帯を下ると、湿地帯に入り、ダケカンバの中の木道を行く。鹿の食害があり、ブラウジングラインが見られるとか。

 6:40 希望峰から往復40分に展望良い仁田岳だが、見えそうにないのでパス。
 8:00 易老岳(2354M)を過ぎ、シラビソ林に入り、カナダにいるような南アルプスらしい光景が広がる。お花畑ものどかな雰囲気。

それぞれが熊除けの鈴ちりちりとリュックの団体通り過ぎてく
 ゴーロの地味な谷筋をひたすら登る。初日から同コースの湘南ナンバーの老若男女団体に道を譲ったりしながら…

 10:00 静高平には美味しい水場がある。まさに南アルプスの天然水!ホッ!

 10:30 縦走路からちょっと寄り道して、イザルヶ岳(2540M)。ハイマツ帯を抜け、砂利道を登る。しかしガスで何も見えず…
 11:00 氷河時代の名残という亀甲状土の木道を歩いて光岳小屋。
 光岳小屋管理人は、ここから6時間で下山できるからここへ泊らず下山を薦める。若者は小屋泊でなくテント泊自炊しなさいと〜私たち若者?
 しかし予定通りリュックを置いてチェックインだけして、光岳へ。

遥かなる光石見ゆ夏怒涛
 11:30 光岳(2591M)は灌木の中、展望なし。頂上標識はなぜか傾いている。

 それから光石へ。途中の展望台からスッとガスが切れて光石が一瞬パッと…。
 11:40 光石は展望台から下って、石ばかりの異様な空間が広がっていた。展望良いはずなのに、やはりガスっていて、あー残念〜
 光岳が石灰岩の白い「てかりいし」を持つことからそう呼ばれること、ハイマツが日本最南端のもの、静岡から見て一番前に光岳があること、山全体を見て、針葉樹林帯やお花畑や湿地帯、いろんな表情を持つ山、そうそうと頷ける山であった。

 12:40 光岳小屋に戻り、しばらくすると風雨が襲ってきた。夕立のようだったが、かなり続いた。天気図を見て、前線が今通り過ぎていることがわかった。
 小屋の中では、"百名山完登"の方がいらして歓声が上がった。おめでとう!
 隣り合わせになったご夫婦は椹島から入って今日で一週間、ヒェー!お疲れさま〜

 日が沈むころになるとやはり晴れ間が覗いて、雲間から富士山も現れた。晴れると、ドターとしていた気持ちもどこかへ行って、チャチャと見に行く。まだ全然元気!
 真夜中、星空も輝いていた。
明日歩む空の彼方に大銀河

7月28日(月)晴れ
 4:50 ご来光を見に行く。手前に山があるので、富士山を背にして上ってくるよう… 太陽の光がサァーと広がると歓声が沸き起こる。
5:10 昨日の道を引き返し、再びイザルヶ岳(2540M)。遮るものなにもなくスゴイ強風だが、全方位展望!光岳も朝日に輝いている。逆光の富士山は後光が射しているよう〜

 易老岳より、樹林帯の急坂を下山。面平(1550M)でホッと一息。
 これからもスゴイ傾斜!50〜60度はありそうな急坂をグネグネヘアピンカーブしながら下る。振り返るとまっすぐの伸びたダケカンバの斜面が迫ってきそうな圧迫感がある。まだ?まだ?という感じで続く。無理しないでゆっくり下ろう、時間は充分あるから。

沢の音聞こえてなぜか安堵して
 10:00 やっと沢の音が聞こえてきて、無事パーキングに着いた。ここはまだ圏外。
 かぐらの湯へ立ち寄り、遠山ジンギスカン丼とノンアルで無事下山を乾杯!
 飯田山本ICより運転交代しながら、無事帰宅。

高山に凛と咲きゐる花たちに強く生きよと力いただく
 梅雨明け10日!というジンクス通り、梅雨明けしての山行になった。ラッキー!
 久しぶりの小屋泊縦走だったが、3泊もあると、やはり雨には遭う。そんな時はやはり小屋泊は非常にありがたい。当然リュックも軽くなる。もうそんなに頑張らなくてもいいんじゃない?っていう声も聞こえるような〜。案の定、帰ってからの筋肉痛もなかった。
 その時の自分の状況に合わせて、そう自分の体調に合わせて、もう背伸びしないで、山に登っていければいいかな〜って。

(2014.9.30.記)

home