荒島岳若葉濃淡迫りくる

2014.5.18.

山若葉沸き立つ力に誘われて
 6月末まで土日高速半額の魔力に惹かれて、是非行ってみたかった荒島岳へ。
 そういえば、ほん数年前、"高速どこまで行っても1000円"という時代もあったな〜 古き良き時代?なのか、道路やトンネル改修工事もしてもらわなければならないから、もうそんな時代はやってこないな〜
 やはり晴れ狙いで行きたいとなると、周りはみんな予定が入っていたので、単独行! 急用が生じ予定より一日延期したので、単独は正解!

 前日17:20、そわそわしてまだ明るい頃に家を出る。八日市ICから名神に入ると敦賀〜武生夜間工事通行止めになっていたが、夜間といっても20時〜で、ギリギリセーフ!間に合って走ることができた。
 北鯖江PAには20:10着。先日の笈ヶ岳の時に北鯖江PAには24時間コンビニがあり、一晩中明るいことも熟知していたので、ここで車内泊。出入りの多い明るいところで駐車することのアドバイスもクリアー! すでにサンシェードや黒いカーテンしたお泊りの車が数台。少し安心〜

 4時の目覚ましに起されることなく目覚めて、すぐ車を走らせた。もう東の空は薄明るくなっていた。駐車場がいっぱいになる前に着きたかった。
 ずっと目指す荒島の新緑の山並みを見ながら走るのはとてもすがすがしく気持ちいい。
 勝原(かどはら)スキー場駐車場(350M)はもうすでに10台以上止まっていて、準備している人たちもいらした。駐車場は心配しなくても上中下とたくさんあった。きれいなトイレもあり。

 5:30 舗装道の急坂を登っていく。タニウツギのピンクの花が咲き競うように導いてくれている。タニウツギ街道のごとく。

 登り始めはひんやりしていたが、徐々に暑くなってきた。
 小荒島岳の肩に薄い雲と調和して溶け込むようにぼんやり満月が浮かんでいる。

 リフト最高所からブナの新緑に囲まれる。新芽の息吹がビンビン身体に伝わってくる。
 ジーンと染み込んでくる。いい時に来た!

待たせたね一期一会の荒島岳ブナの青葉が迎えくださる

 「トトロの木」というブナの大幹、♪となりのトットロットットロ♪を過ぎ、白山展望所からは2週間前より黒肌が多くなった白山を眺める。やはり大きい!
 やがて階段状の急登をいくと、もう笹原の中のシャクナゲ平(1204M)に到着。
 シャクナゲ平から一旦下り、モチガ壁という階段状の激登りを見上げると、ピンピンクのシャクナゲも迎えてくれた。素晴らしい演出!

 ブナ林がクマザサに変わる頃、ドーンと少しだけ雪を残した荒島岳が姿を現し、左には白山、足元にはカタクリ、ショウジョバカマ、ハクサンフウロが咲き乱れている。

 前荒島のピークを越え、荒島岳へ。

薫風にはっはっ白山大魔王はまだらなり

 7:40 荒島岳(1523M)。1等三角点と荒島大権現奥の院の小さな祠がある。360度の素晴らしい展望!
 2週間ぶりの白山はもちろん、乗鞍、御獄、恵那山、近くは経ヶ岳、能郷白山。アルプス方面は雲がかかっていた。
 いつものことながら山へ入った時の高揚感に支配され、なぜかメチャ早く登ってしまったなー。もっとじっくり味わって登ってもよかったなー。
 駐車場からずっと私の前を歩く単独行の男性の熊鈴がチリンチリンと響き、ついついそのペースに誘われて歩いてしまった。私の鈴はおみやげの鈴で音が低く、あまり効果無いかもしれないと思いながら…

 時間がありすぎるので、小荒島へも行きたいなと。もし後でバレたら困るので、朝早くからご迷惑かと思いながら山行管理者へメールする。すぐOKのお返事もらえてホッ!
 ブナの新緑の中、ずっと木陰の中、とても気持ちいい。ルンルン歩いていくと、右に急登して小荒島岳(1186M)。

 9:00 小荒島岳から振り返ると、デンと荒島岳が座していた。少しだけ残雪を抱え、新緑の上に凛と聳えている。

 スゴク立派な山!さすがだわ!
 こちらの方が展望いいな〜ポォーと感慨に耽る。次々登山者が登ってくる。中出コースからの人たちも。
 来た道を帰ってシャクナゲ平へ戻る。この頃になるとシャクナゲ平はとてもにぎやかになっていた。

ブナ青葉仰ぐ高さのありにけり
 今日は次から次へと登ってくる。登山道には残雪全くなく、ちょうどいい頃ということもある。上り優先、団体に何度も道を譲りながらの下りになる。振り返ると山全体を覆うブナ林は、私自身も巻き込むごとく真っ緑にキラキラ輝いていた。

新緑や透かして見ゆる空の蒼

 木の階段はところどころ壊れていて、ワイヤーだけが残っているところもあった。かえってワイヤーに足を引っ掛けると危ないな〜と思いながら。百名山を整備していくことはたいへん。いつかは入山料徴収になるかもしれないが、やはりそうして山を守っていってほしいなと願う。
 11:50 リフト跡から勝島スキー場駐車場へ無事下山。

 かなり早足過ぎたな?とチョット悔やみながら、やはりもったいないので、越前大野の規格整備された街中を巡り、越前大野城から大野富士・荒島岳を眺める。標高は1524Mなのに、ピラミッド型、どっしりして美しい品格がある。
 越前大野市は地下水豊富で湧水池がたくさんあって、名水百選御清水(おしょうず)を車に載せてあったペットボトルにいただいた。私でも認識できる超軟水で、トロッ〜とまろやかなお味。
 結ステーションお薦めのB級グルメのしょうゆトンカツをいただいて、それからもうゆっくりゆっくり休憩しながら、無事帰宅。
 ちょっとではなく、かなりいい一日に感謝!

荒島岳語らふ山の新緑をそよ風渡る風香りくる
 M本山行管理、K原代表、ありがとうございました!
 普段の、いつもの、ごくごく当たり前のことが一人で出るとしみじみ身にしみます。こんな経験もできてよかった!感謝!感謝!




新緑を透かして見ゆる空の蒼 裕

 五月、素晴らしいブナの新緑に出会った。
 見上げるとめまいをしそうなほど、キラキラ輝いていた。
 心が洗われてしまいそうな、怖いくらいの木々の息吹きだった。

 百名山・荒島岳。
 この自然が永遠にありますように・・・

二〇一四年五月一五日




∞ 編集後記 ∞
 サッカーワールドカップは残念ながら1次リーグ敗退したが、日本のサポーターの試合後のゴミ拾いが世界から注目を集めた。元来日本人は規律正しい。
 5月23日、「山の日」が設定された。
 2016年から、8月11日が祝日となる。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としている。
 山への注目が浴びることはとてもうれしいこと。同時に山を大切にすることの運動も広がっていく。もちろん私たちも小さな一歩であるが、できる限りの努力をして、山を、自然を、大切に守りながら山行してゆきたいな〜

(2014.5.23.記)

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