春深し冠山はくっきりと

2013.4.28.〜29.

4月27日(土)
 今回が今年初めての山となる。
 エッ!ウッソー!と思うけど、こんな年もある。いろいろある。人生いろいろ♪

 22:00 奥美濃の山なので、名神大津S.A.で拾ってもらえた。ナビでは1:30、実際1時間で大津まで行ける。ラッキー!
 木ノ本I.C.で下りて、道の駅"夜叉ヶ池の里さかうち"でテント泊。道路表示気温は7℃だった。寒い!
 今年は3月に暖かい日が続いたので桜開花も早かったのに、ここになって花冷え、若葉寒となっている。そう簡単には陽春はこない?「寒冷渦」という寒気が南下しているとのこと。北アルプスは荒れているというニュースもあった。最近の気象は複雑になっただけによく当たる。

4月28日(日)快晴
 車はぐねぐね山道を登り、落石多い道をガンガンゆく。残雪も現れた。
 しかし、とうとう行けなくなった。登山口まで林道をナビではあと4.5kmという。1時間だ!ここが標高600M、登山口1050Mだからあと450M。
 右に冠山頂上が冠の形をしてデンと座している。山肌に残雪も見える。気持ちが高ぶる!久しぶりだもの!

 9:10 私たちは足で進もうとすると、改造している軽四駆車はガンガン林道を突き進んでいった。しかし彼らも引き返してきた。
 残雪が道に雪崩れ込み、落石も多い。人間の足ならどこへでも行ける!?

忍ぶれど色に出にけり蕗の薹
 雪が融けた山肌にふきのとうが大きく花開いている。久しぶりの春山の雰囲気にリフレッシュされる。
 気持ちは前にしか向いていないので、グネグネ林道も全く苦にはならない。1時間ちょっとで登山口の峠。
 反対方向からの峠も通行止めになっていた。ダムの底に沈んだ村々の石碑に春爛漫の日差しが背後から当たっている。逆光がもの悲しく見えてしまう。

春泥を歩けば囀り近づいて
 10:30 雪解け道を直登する。春の足音って、もしかしたらこの春泥をベチャベチャ歩く音かな?

 目指す冠山はいつも青空の中に見えているので、気持ちよく歩ける。林道から見た冠山頂上とだんだん形が変わってきた。

まんさくの花パチパチと咲きにけり
 雪の間から伸びている木に黄色いまんさくの花がついている。雪を掻き分けて咲く花はひとつひとつは小さいながらも力強い。

 新芽出しているブナ林から、だんだん木々が低くなってきたかと思うと、北方に斑模様の山々が見え出した。

真っ白な白山遠くに座しており
 ずっと奥には白山!日本海側は雪が多かったのか、まだ真っ白!
 大きく口を開けているシュルンドを少しトラバースして、最後、岩場を登りきる。

 12:00 冠山(1250M)は、太陽燦々、360度の展望。

 先週からの足の痛みはまだ続いていて、用心して下らないと・・・残雪の上は膝にやさしいのでありがたい。

 13:45 峠まで戻り、林道を下って車に戻った。時間の過ぎるのが早く、アッという間のピストンだった。
 何年かぶりの奥美濃の山、冠山、いい山だった!14:50

     キクザキイチゲ(キクザキイチリンソウ)

青空にタムシバの花飛び跳ねて

 ふじはし道の駅の温泉に立ち寄り、能後白山への温見峠の国道157号線はまだ5月末まで開通していなくて、仕方なく、最初の計画通り、鈴鹿藤原岳に。
 八日市I.C.からマーガレットステーションへ。屋根もベンチもきれいに備えてくれてあり、快適ビバーグ!ありがたい!
 キャンピングカーも、他のテント泊もいらした。少し車の騒音に悩まされもするが・・・

4月29日(月)快晴
 7:45 御池川の登山口から登り始める。いきなりのジグザグの急坂を登り、杉林のノタノ坂の峠に出る。と思ったら、またガンガン下り、茨川廃村に出た。

一瞬に山の笑ひの中に入る
 杉林がパッと開けて、鮮やかに山桜が、新緑が目に飛びこんできた。無人の山小屋の横には小梨の白い花も満開だった。

 9:00 昨年9月の豪雨により茶屋川のコンクリートの橋が流されていた。東にとる伊勢谷の山道も崩れかけていた。これからは異常気象の関係でだんだん豪雨がひどくなり、山奥の道は改修されずに残されていくのかな〜
 植林の道と見極めながら、治田峠へ登っていく。

 10:10 治田峠からやっと藤原岳へのルートに入った。北にはアセビの向こうに藤原岳が現れた。

     アカヤシオも盛観。

 東には四日市のコンビナートが見える。その奥が伊勢湾、知多半島も。私には学生時代に見慣れた懐かしい光景、なぜか私はこのコンビナートの工場群にホッとしてしまう。

なぜですか?カタクリの花うつむいて
 カタクリ!
 一昨日、藤原岳表コースでは一輪見つけただけと聞いていたので、早速現れたカタクリに感動!
 一輪だけではない!次から次へと! 花を咲かせている葉は小さいが、花をつけていない葉は大きく堂々と地面に這いつくばっている。

凛として大地に芽吹く福寿草
 黄色い花は福寿草?
 石灰岩地帯に多いと聞くが・・・
 福寿草といえば、以前大宇陀かぎろひマラソンへ行った時、旧家の庭の片隅にけなげに咲いていた印象がとても強く、また雪割草という別名もあるはずだし、こんなに太陽にキラキラ輝き咲いているこの福寿草とはイメージが違う。けど、福寿草だった。
 きれいな花には毒があるごとく、ヨモギの葉と似ているという。匂いと葉の裏で区別する。そうそう、ふきのとうもハシリドコロと似ている。額にある毛で区別する。

 さすがに藤原岳はお花畑の山! クロモジ(クロヨウジ!?)も満開! ニリンソウも春を謳歌している。

 先ほどの崩れたままの道を思うと、山もだんだん変わってくると悲しくなってしまったが、ここへ来て変わらぬお花畑の競演にホッとした。
 西からは登ったことがなかったけど、頂上は遠かった。花々で気持ちは和んで登れるのだけど・・・

 12:20 岩々がノキノキ出てきて、視界が開けてきて、カルスト地形の山稜が広がると、やっと藤原岳頂上(1120M)。ずっと見渡せる。風もすがすがしい!

山笑ひ転げて爆笑する緑
 山々は柔らかな光に包まれて、それぞれに発色していて新緑が眩しい。ホント山が笑い転げている!

 13:00 頂上から笹原の中を少し北へふって、西尾根を下る。どこでも歩けそうな道だけど、沢へ下りて、またトラバースして、足元のカタクリに慰められながら、朝の廃村へ続く蛇谷と合流する茶屋川に下りた。
 茶屋川沿い左岸右岸をあちこちしながら、やっと今朝の小梨の白い花満開の廃村へ辿りついた。15:10

 西尾根ルートがこんなにややこしいとは思わなかった。地図上は確かに点線コースで長くはあるけれど、それだけに静かなコースでお花もしっかりゆっくり堪能できた。結局、頂上以外では朝、ノタノ坂の峠で2名パーティに会っただけだった。
 またそのノタノ坂の峠へ登り返し、御池川の登山口へ戻った。16:45

 あぁー、9時間、長い一日だった。濃ゆい、濃ゆ過ぎる一日だった。山に行けなかったこの4ヶ月間を完全払拭できた2日間だった。ちょいhappeningあったけど、K原リーダーの読図はじめ、楽しいメンバーに恵まれた山行だった。
 先週のマラソンの痛みが尋常でない気がして、かなり不安だった足もこの2日間なんとかよく歩いてくれた。両膝にテーピングしておいてホントよかったよ!

山に触れこころ落ち着く春の宵

(2013.5.10.記)

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