雨が降ろうが槍が降ろうが山へ行きたい!という気持ちはもう全くなくなってしまった。沢登りをしていると雨が降ったら行かないという感覚に慣れてしまったのか、ではなく明らかに軟弱になってしまった・・・
そんな中、晴れ狙いの山行プランが現れた。数年前から聞かされていたお花畑縦走! 身辺回りも今年は落ち着いていたので、P会のSさんと日程自由人同士、まずここから始まった。
先週初級実技が一日延びたため、こちらも一日延期して、ちょうど金土日になってしまったが、ラッキーにもラスト2のバス予約(8000円)がとれた。
8月2日(木)晴れ
23:10 京都発アルピコさわやか信州号バスは白馬八方まで運んでくれる。京都八条口は今昔の山ガール山ボーイでいっぱい。4列座席だが、後から1、2番目は間隔が少し広い。いつも通りにまぁ一眠りできた。
8月3日(金)晴れ
6:40 バスは穂高、信濃大町、扇沢、白馬とあちこち寄り道しながら八方へたどり着いた。便利極まりない。
スキー時期は賑わう八方の町を歩いてゴンドラ乗り場へ。リフトに乗り換え、一直線に八方第一ケルン(1850M)へ。リフトに乗っているだけで青空の中に双耳峰の鹿島鑓から白馬三山がグングンと近づいてくる。
「ウワァ〜!」
リフトを降りると、お花畑が目の前一面に広がる。もうこれだけでも満足!気持ちがルンルン! 登山届けを山小屋に提出して出発。
「速い!抑えて!」と言われながらも、足が逸る。満開の高山植物に囲まれて、一気に2000M近くまで上がった高度障害も忘れてしまっていた。
見渡せる 白馬三山 夏模様
第二ケルン(1950M)、第三ケルン(2080M)と順調に登っていく。八方大池では、雲に少し邪魔されたが、逆さ白馬も描かれている。カメラマンが雲の晴れるのをじっと辛抱して待っている。
ところどころ木道が敷かれていて、植生保護がされていた。久々のお花畑散歩!
ハイマツが現れ、乾いた道を登りつめると唐松小屋。
11:50 小屋で買った500cc300円のペットボトルの水がおいしい!?。これから先は水は無い。やはり暑いので、結構水が必要。
12:20 唐松岳(2650M)からは360度の展望!
13:00 さぁ!これからは不帰キレット。少々不安ながらも歩を進める。
南からは三峰、二峰、一峰と続く。鎖あり、ハシゴあり。すれ違う男性からは「もうすごかった〜気をつけて」とため息混じりにアドバイスを受けた。
鎖やハシゴは頑丈に整備されているので、そういう心配はないが、ヘルメット被ってもいいかな〜というキレット巡りだった。最後不帰キレットから天狗の大下りで終了。
15:30 慎重に歩いたので、コースタイムを縮めることはできず、予定がオーバーしそうながら、お花畑散歩を楽しむ。
カラカラ乾いた縦走路では、コマクサもしおれた感じで元気なかった。ウルップソウも盛りを過ぎ、本来の紫色も茶色く変貌していた。岩陰に咲くチシマギキョウは風に向かって力強く咲いていた。
天狗山荘までの最後の上り、まだ?まだ?という感じで、天狗ノ頭(2812M)は東を回りこむはずなのに、25000分の1地図ともちょっと違うよなぁ〜と自説をブツブツ講釈してもまぁ仕方ないけど・・・
18:00 やっと天狗山荘へ着いた。キレット通過と、なによりもお花畑の写真で時間を費やしてしまった。そう、あっちもこっちも欲張りなんだよねぇ〜
山荘の横には大きな雪渓の雪田が残り、流れる水はメチャ冷たい。先ほどまでの暑さは一挙に消えてしまった。手がかじかむ感触でも、気持ちいいのでブルブル顔を洗った。結局今日は10時間行動だった。
キャンプ場に2テンを設営。すぐ日が暮れた。夕食はSさんの鰻丼!あ〜ホントお疲れさまだよねぇ〜
8月4日(土)晴れ
朝焼けがきれいだった。ぐうたらにもテントから顔を出して、頂上付近で日の出を拝むのは何年ぶりかな・・・
6:00 さて、今日も長くなりそう。
7:00 白馬三山の鑓ヶ岳(2903M)へ。朝日を浴びての稜線散歩は気持ちいい。キレットは行かずに白馬三山巡りの登山者が多く、すれ違って道を譲るのに時間をとられる。
8:30 杓子岳(2812M)も晴れ渡っていた。遠くに富士山↓も見える。やはり富士山が見えると感動の大きさが全然違う。頂上は登山者でいっぱいなので、少し低いピークで休憩をとる。
「どこ?どこ?」雷鳥がお花畑から顔だけ出して、キョロキョロ。
見下ろすや 蟻の行列 大雪渓
雄大な白馬岳を仰ぎながら、眼下の白馬大雪渓を見下ろすと、黒い小さな点々がグネグネと続いている。スゴイ渋滞!
10:00 白馬頂上へは行かず、白馬町営小屋から直下の雪渓の雪田を赤い印通りにトラバースして、清水岳への稜線に入る。
「ワァ〜期待通りのお花畑!」
生まれて初めてのアルプスがこの白馬大雪渓+お花畑だった。38年前の記憶が鮮明に甦る。温暖化やエルニーニョ現象なんていう言葉もなく、汗をかいても水を飲まないという学説の時代だった。何も知らずに雪渓をかき氷みたいに口に入れていたし、どこまで行けるかなんて夜遅くまで雨が降ろうが、重いキスリングを背負って歩いていた。若い時代、というより幼い時代だった。
ハクサンイチゲとシナノキンバイが競い合うように、短い夏の太陽を一秒も逃さないように咲き誇っている。他、チングルマ、ヨツバシオガマ、ウルップソウ、マツムシソウ。
旭岳の南側のお花畑をトラバースして、白馬をバックに写真を撮る。眼前には立山連峰がどっしり構えている。あまりゆっくりはできないが、昨日からの縦走路でたんまり目の保養をさせてもらっているので、もうおなかいっぱい堪能できていた。
12:30 清水岳(2603M)ピークは清水平の広々した平原の稜線から少し入ったところだが、標識はなかった。
清水岳ピストンのグループには会うが、ここから祖母谷温泉へ下る変わり者は少ない。
振り返ると旭岳が、その向こうに白馬三山が青空をバックに柔らかい稜線を描いていた。マツムシソウが大きく華麗。
やがて地塘が現れ、樹林帯に入ると暑さが戻ってきた。
14:30 やっと不帰岳の南東に位置する不帰岳避難小屋に出た。この避難小屋に宿泊するというおじさん一人と会話する。祖母谷温泉小屋に夕食を予約してあるので先を急ぐ。予約してなくても、女性二人でも、なんだかおっかないよね。
小屋を後にすぐ沢の流れがあり、水が冷たくておいしい! 今日も暑かったのでここまで1.5L飲んでしまった。あまり水を飲まないタイプだけど、カラカラの縦走だからこの位は必要と反省する。
百貫ノ大下りと名付けられた急坂のある長い下りだった。祖母谷温泉小屋まで行くというバテバテのおじさん達を追い越す。小屋予約しているので、遅れますとの伝言を頼まれる。
17:30 河原に出て、また山道に入り、落石だらけの林道を歩く。
18:00 薄暗い中、無事祖母谷温泉小屋に到着。
「早くテントをたててきて!早くお風呂に入って!」と小屋の女性に急かされる。
広いテンバにテント設営して、温泉はホントの掛け流し温泉の湯船だけ。河原での露天風呂の写真を見てきたが、現在は男女を分けての掛け流し温泉になっていた。
小屋の夕食は、虫が入ってくるというので真っ暗の中、炊事場から漏れる灯りだけでの食事。お味噌汁や手作りコロッケはわかるけど、ヌメヌメしたお刺身はなにかな?富山名物トンボマグロの昆布しめだった。美味だった。遅くなったし、おいしいと評判の2700円の夕食は大正解だった。
8月5日(日)晴れ
7:30 始発9:16のトロッコに間に合うように祖母谷温泉小屋↓を出発。お昼頃のトロッコになると3〜4時間待ちだという。
欅平になってやっと携帯圏内に入ったので、下山報告する。
Mさんから返信の「おめでとうございます」ってなぁに?二人で首をひねる。
今日も太陽サンサンで、トロッコに乗った途端、観光客になってしまった。すれ違う欅平行きのトロッコは満員。彼らが帰るのだから、お昼のトロッコの待ち時間も想像できる。
10:38 宇奈月温泉から地鉄魚津に出て、JR富山駅へ。富山駅は真夏の太陽ガンガン照りつけていた。お疲れさまの乾杯をして、米原まで特急に乗って無事帰宅できた。
Sさんにはお世話になった。
縦走もいい!やはりいい!やはり晴れ狙いがいい!
もうあくせく雨に打たれながら根性出して山登りする年齢でもない。いい時にいい仲間といい山に登りたい!
空碧く 雲しんとして 夏深し
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