秋韻や 行かねばならぬ 百名山

浅間山・四阿山・草津白根山
2010.9.17.〜20.

 "百名山"正直なところあまり関心なかった・・・でも心のどこかで気になっているような・・・仲間の話題には耳を傾けてしまうような・・・
 緊張の解けたこの時期、このゆるゆる山行にちゃっかり乗せていただいた。

9月17日(金)
 23:00 大阪千里まで行かずに、下り車線から上り車線への階段のある名神大津S.A.で合流させていただいた。初めての大津S.A.だったが、大阪まで行かずにショートカットできるこの1時間の余裕は大きい。
 久しぶりでもないのに爆発したような会話が終わると、瞼が重い。ドライバーには申し訳ないと思いながらも、うつらうつら・・・

9月18日(土)晴れ時々くもり
 晴れ女揃い踏みの今回、お天気に関しては安心。
 緑眩しい広葉樹の中、グネグネと車でかなりの高度を稼ぎ、登山口の浅間山荘登山口(1410M)へ。

秋思添う 浅間山荘 モノトーン
 浅間山荘と言えば、やはりあの事件が思い浮かぶ。私が確か中学生3年生だった。赤軍派の事件がテレビ生中継されて、放課後職員室へ行ったら先生方がテレビを見ていた。家に帰ってもそのテレビ放送ばかりだった。小屋に放水したり鉄球で壊していったりした白黒画面が今でも脳裏に焼きついている。あの頃は何故そのような事件が起こったのかもわからなかったくせに、それだけ衝撃的な事件だったのだと今さらながら思ってしまう。
 勿論、山荘は新しくきれいになっていて、「赤褐色の浅間の秘湯・天狗温泉浅間山荘」と掲げられていた。あの頃の面影も勿論ない。

 7:30 薄暗い登山道を登っていく。竹カゴを背負ったおじさんたちも前後する。コムソウダケ(ベニハナイグチ?)採取と言う。そう、カラマツ、アカマツ林の中、キノコが多そうな山道。
 一ノ鳥居から不動滝コースをとり、二ノ鳥居へでて、だらだら登り。
 プーンと硫黄の臭い。右を見下ろすと火山岩が黄緑色に染まっていて、ホンの少し噴煙が上っている。
 往く手左方向に奇怪なボコボコした山容が現れた。そしてその向こうになだらかな浅間山も現れた。右前方には岩登りもできる牙山(ぎっぱやま)。
 9:30 カラマツで作られた鳥居のある火山館で一休み。ここに火山活動度レベル表示あり。今日は1。今日は心配なしOKということ。火山館主は2009年2月1日に小噴火があった時は未明電話で起こされて、避難したと話してくれた。

 浅間山は花の百名山の挙げられているほど、お花も多い。シラタマの木の丸い白い実↓、ゴゼンタチバナの花と赤い実↓がいっぱい。ハクサンフウロ、トリカブト、マツムシソウ、アザミ、リンドウもまだ咲いていた。

 火山館の裏から湯ノ平高原を過ぎると、森林限界となり景色は一変する。カラマツ林から開けて、溶岩道となり、右になだらかな山容の浅間山がデンと現れた。左には黒斑山、蛇骨岳、仙人岳、鋸岳と並んだ外輪山が浅間山とは対照的な岩稜の鋭い姿を見せている。頂上付近のゴツゴツした茶色の岩肌と麓の緑色のコントラストが美しい。
 変化のない溶岩の道をただひたすら歩く。やがて鋸岳の北方に嬬恋の広々した牧場の緑が見渡せる。なんともいえない開放感のある眺望。少し曇り空ながら、吹く風もすがすがしく太陽も眩しい。
 立ち入り禁止の看板で右に折れると、2棟の半円の避難壕があり前掛山へ続いている。火口付近に人影が見えるが、私達は違反することなく、前掛山まで。

 11:20 前掛山↑(2524M)から望む浅間山(2568M)はどっしり大きい。観測のため?の火口への道がはっきり見える。三重火山という外輪山をいくつも持ち、穏やかさと荒々しさを併せ持った火山であることを、恥ずかしながら今初めて知った。これだけ雄大な裾野をもてば、花や木やキノコの宝庫になるのも頷ける。ただ一旦噴火すれば、東京周辺まで降灰があるのだから、どでかい山である。
 名残惜しく来た道を下る。気候が良いのでハイカーが多い。前半後半と景色がコロッと変わるので楽しい山登りになる。
 13:30 コムソウダケはわからなかったけど、キイロイグチを少し鑑賞して、浅間山荘登山口へ。お疲れさまの乾杯をして、小諸へ出る。

 小諸なる古城のほとり・・・の小諸懐古園を途中横目で見て、まだ明るい頃に菅平高原の菅平牧場へ到着した。ここから根子岳、四阿山のなだらかな山々が見えている。
 大きな駐車場がいくつもあり、東京ナンバーのドライバーに聞いてみると、彼も今日浅間山、明日四阿山、明後日草津白根山の予定という。百名山巡り一緒!みんな考えることは一緒か〜
 この駐車場でテント設営。トイレも水もあるし。今夜も満点の星空。秋の夜は澄み切っている。夜はここでも暑かった。

9月19日(日)晴れのち雨
 6:15 菅平牧場(1590M)をゆっくり出発。遠くに乳牛を眺めながら、牧場の横をゆるやかに登る。ここもお花が多い。ワレモコウ、アキノキリンソウ、ツリガネニンジン、ウメバチソウ。マツムシソウ↓もまだ残っていてくれた。以前見たより色が薄く背が高い。

 気持ちよい白樺林のなだらかな道を登っていく。笹原とハイマツに代わっても、のどかな展望よい風景が続く。北アルプスの連山も雲の向こうに現れだした。
 7:50 根子岳(2207M)頂上は広くて眺望よく、石垣の上に小さな祠が祀られている。360度の眺望。南の富士山方面は雲で見えなかったが、北アルプス、妙高、尾瀬方面の山々が見渡せた。双耳峰の鹿島鑓やカールをもつ白馬鑓はよくわかる。
 根子岳の岩場を下っていくと、笹原の中に裾野を広げた四阿山↓が横たわっている。なんともいえない清々しい景色!振り返ると、チョコンと祠を天に仰ぐように根子岳がたたずんでいた。

 9:45 四阿山↓は双耳峰で、四阿山南峰(2354M)、四阿山北峰(2333M)どちらにも祠が祀られていた。東の根子岳の向こうに北アルプス!ここも眺望よし!青空が気持ちいい!

 木道の階段を下り、グングン調子よく下る。クロマメノキの実↓(ブルーベリー・アサマブドウ?)もいっぱい。熊の餌になるので採らないでくださいという看板。でも少しいただく。

 牧場の横の道を下っていくと、別荘地に入る。おかしいな〜と思っていたら、やはり道を間違えていて、別荘の人が親切にも案内してくださった。別荘地なので道がたくさんあり、昔設備されたような荒れたトレイルランコースを辿ることとなる。

放牧の 根子四阿山 秋うらら
 道に迷ったご褒美なのか、乳牛がたくさん集まっている背景に根子岳、四阿山のなだらか稜線が広がる景色に遭遇した。やはり百名山!と惚れ惚れしてしまう。でも出口には口蹄疫予防のため放牧地立ち入り禁止の看板と、白い消毒の粉が置かれてあった。

 13:30 菅平牧場駐車場に戻って、牧場の濃厚なソフトクリームをいただく。道に迷ったので予定時間オーバーながら、ここも名残惜しく次の志賀高原へ向う。

 長野街道R144に戻って、嬬恋村のかわいいまさに手作りというお祭りに遭遇して、万座ハイウエイから志賀草津道路に入る。雲海を見下ろしながらのドライブ。人もバスも車も多い。ここは観光地だわ〜
 そのため、なかなかテント設営できるような適当な場所は見つからず、なぜか雨も降ってきて、最終的にキチンとした木戸池キャンプ場に落ち着く。ホテル裏から道路を渡ったところに変わっていたが、一人800円。
 やはり外での宴会は寒く、今日はテントの中で食事する。雨は夜半に本降りとなった。なんで降るの?おかしいな〜

9月20日(月・祝)雨のち晴れ
 朝もまだ雨は止まず、ゆっくり起きる。でもしびれ切らして、ボチボチ片付けして、車で草津白根山登山口へ。
 9:00 小止みになり空も明るいので、弓池から遊歩道を歩き出すと雨は止んでくれた。「ほ〜らね!」
 リフト横の木道階段を登っていく。雨に洗われた広葉樹がすがすがしく、空気もおいしい。4本の広葉樹が珍しく並んでいる。コメツガ、トウヒ、オオシラビソ、シラビソと。

秋暑し コマクサゆれて 白根山
 やがて眺望が開けて、少し草紅葉がかった本白根山のゆるやかな丘陵が続いている。火口丘になる砂礫地にコマクサの葉っぱが。気をつけて見ていると、薄ピンクのコマクサが咲いていた。久しぶりだわ〜感激!
 白根探勝歩道の最高点へ歩いていくと、今度は濃い濃いピンクのコマクサが咲いていた。こんな濃いピンクのコマクサは初めて見た。感激!

 10:20 草津白根山(2171M)は歩道の北側、南側にある本白根三角点へは毒ガスのため立ち入り禁止。
 亀甲模様が見られる鏡池を周って、白根火山ロープウェイ頂上駅を過ぎて、弓池へ戻った。
 12:00 弓池から湯釜へ登る道に人がいっぱい。結局、駆け足で観光客を掻き分け掻き分け湯釜へ登る。15分を8分で登り、5分で下る。
 「関西人はせっかちだね・・・」と、東京から近いせいもあるのか、関東人の観光客がささやいている。

 そう、欲張り関西人は草津温泉へも。湯畑近くには無料の共同浴場白旗源泉があったが、ここは温泉だけなので、隣の内湯のある昔情緒ある"草津館"に入る。
 温泉街でマイタケとんかつをいただき、湯畑を巡る。独特の硫黄泉と上州の温泉街の雰囲気にすごく遠くへ来たことをしみじみ感じていた。

 15:00 嬬恋村を通って上州街道から上信越道に入り、みんな午前様で無事帰宅。K原さんは全く交代なくずっと運転してくださった。尊敬!でした。

天高し 百名山の 風格なり
 やはり三山とも百名山と呼ばれる素晴らしい山だった。駆け足で周ったが、みんな去りがたい気持ちにさせられた山々であった。一山一山ゆっくり時間をかけて周るに価値のある山々であった。
 N川さんが「行かねばならぬ・・・」という感じで通いつめていた思いがジワッと伝わってきた。そのうち私も「行かねばならぬ・・・」という気持ちになっていくのかな〜 そう、これからは一山一山貴重な山登りになっていくのかな〜 気の置けない仲間に恵まれて、プラス山を楽しむ時間を大切にしていきたいな〜

(2010.10.1.記)

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