滝・滝・滝 笹穴沢は Bigなり

初級登山学校・上越笹穴沢
2010.8.19.〜22.

8月19日(木)くもり
 22:00 今回は以前の宴会席付バス。JR森ノ宮駅を出発してすぐ、そのバスはカタンと止まる。ン?何?エンスト?エッ?大丈夫かな?
 そんな感じで吹田S.A.に寄り、S水さん差し入れのワインをいただきながら、多賀S.A.そして就寝。

8月20日(金)くもり
 6:00 明るくなってもバスはまだ高速を走っている。ゆっくり安全運転?
 7:00 谷川岳S.A.で着替え。雨が降った跡あり。でも空は明るく青空が見えている。
 8:00 川古温泉で下車して予定通り歩き出す。夏草が覆うジケジケした林道がやがて細くなっていくと、
 「ヒル!ヒル!ヒル!」
 「お願い!立ち止まらないで〜」
 靴下の中まで入っていきそうなヒルを掴み取る。だんだんみんなの歩調が速くなる。早く河原に着きたい。
 1時間50分のコースが1時間30分に縮まって、赤谷林道終点の河原到着。ホッ!でも、いつのまにか血で真っ赤な足の人もいた。

 10:00 バスが遅れたこともあり、今日は降水確率40%、明日は20%のこともあり、ここでビバーグ。やはり明日1dayでアタック。
 「そうだったらもっと持ってきたのに・・・」これからが長い。タープを張って、薪を集める。昼食をとって、大自然の中でお昼寝。ぐっすり熟睡、あ〜気持ちよかった。
 夕食を済ませて、焚き火。火を見ているとホッとする。口数も少なくなり、明日のために早々就寝。雨の心配はなかった。

8月21日(土)晴れ
 5:00 キッチリみんな準備ができる。今年は遅れるような受講生はいない。受講生7名コーチ12名。3度目の正直となったこの長い笹穴沢も完登できる予感・・・
 すぐ、ゴルジュをもった1mと3mの滝を左岸から最初から巻く。少しでもややこしいところにはロープを張る。
 やはり異常猛暑のせいか水は冷たくない。ゴーロやナメの中に3m、5mの登れる滝が続く。
 7:10 金山沢出合までは早かった。焚き火の跡が時々出てくるけど、19名一緒は無理な広さだったから、昨夜のビバーグ地は正解。

 8:00 1050M地点。クロガネ岩峰↓を左に見る。空は雲が出ているけど青空。安定している。

 8:20 そろそろずっと続く2段7mナメ滝↓登場。この沢の大きさを実感しつつ登っていく。

 8:40 水量少ない左俣を過ぎ、いろいろ登れる滝の連続。みんなそれぞれ両壁を登る。

 9:20 1140M地点。2段30m↓のメチャ豪快な滝が現れる。真っ青な空から飛び落ちてくる飛沫が白く光って眩しい。スゴク爽快!
 O倉コーチがトップだが、みんなのザックを先に引き上げるという。右壁を水線沿いに登るが、最初の一歩が細かくて難しく、左斜め上に登るので自力が必要。時間がかかるが、ウロウロしているより速い。K原校長、M本コーチが1段目でフォロー。みんなのザックの重さがバレバレ。私も受け渡しをしたけど、メチャ重いザックあり。なんでこんなに重いの?でもマズイのは私!myザックの軽さがわかってしまった〜

 10:30 一部シャワークライミングもあり、ヌメヌメ苔もある大滝が終わり、ホッ!でもこれでかなり高度を稼いだ。
 11:50 1190M地点。ほとんど連続した4つ大滝を越えた。2段20m、12m、階段状5m、2条15m。太陽がサンサンして気持ちいい。これからは歩いて登れるナメ滝、小滝が続いている。

 12:30 1230M地点。左俣を分けた後、20m滝↓は左壁階段状を登る。実際は草付で落石もあり、スゴクややこしい。タイブロックは自分よりも上に上げるようにアドバイスする。

 13:10 1300M地点。ハイライトの60m大滝↓は右壁3級程度の岩登りの直登もできるとガイドにはあるが、左草付を登り、トラバースして落口に出る。草付の直登も落石する人あっていやらしく、トラバースもスタンスに草や泥が乗っていて、メチャクチャいやらしい。こんなとこ、よくトップで行ってくれたなぁ〜みんな感心している。そして感謝の声。

 15:10 1390M地点。もうひとつのハイライト120m大ナメ滝↓は直登できるが、時間的なことを考慮し、簡単だという左岸を巻いた。

 16:00 大ナメ滝↑を落口から見下ろすと、Oh!なんてどでかい!Oh!足元がすくむ!
 ハイライトが終わっても、ロープ必要な小滝が続く。
 「まだあるの〜」西ゼン、東ゼンと比べて地図上でも距離は倍以上あったとおり、笹穴沢はやはり大きな沢なんだ〜

 17:00 川幅が少し狭くなり、木々も低くなり、クマザサが現れだした。まだ断然明るい。大丈夫。京都からの4人パーティが追いついてきた。今朝川古温泉を出発したという。
 18:00 日が沈んでしまった中、やっとなだらかな稜線が見えてきた。さすがのメンバーもバテ気味、ばらけだした。

 19:00 1700M地点。ヘッドランプ装着。クマザサに囲まれた草原の分岐を右のような気もしたが、左にとる。ここまできても小滝連続。
 真っ暗になってしまった。満月に近いお月様がありがたい。時々雲に隠れてしまうけど。京都のパーティはここの草原でビバーグ。ビバーグした痕跡がところどころにあり。
 源流も終わると一面草原になって、ルートを左の草原の中へとる。明るかったら寝そべっていたいような気持ちいい草原が広がっている。少しガスがでてきて、月明かりが露で濡れている草原をチカチカ照らしてくれて、濡れたロープを入れたザックの重さも忘れさせてくれる。振り返ると我パーティのライトが不規則に連なっている。最後の頑張り!

 20:00 廃道となっているトラバース道の木道にでた。ホォ〜!みんなの歓声!けど、これも長かった。遡行図のガイド説明と全然違ってホント長かった。廃道なのでところどころ笹に埋もれている。笹を持ちまくりのトラバースは、上りよりもたいへん。これこそ根性ムキダシ!みんな、すぐ後ろのK下さんもブツブツ言いながら進む。でもまだブツブツ言うエネルギーはあるのだから。
 20:30 やっとやっと小屋へ続く一般道にでた。小屋までずっと下りの幅広い木道の階段が敷かれていた。月明かりだけで歩けるとてもりっぱな木道だった。

 21:00 やっと平標山ノ家に到着。みんなホントによく頑張ってくれた。感謝!感謝!16時間行動だった。
 こんな遅い時間だったけれど、不機嫌ながらも山ノ家の人には応対いただき、デッキやテント場を借りてビールを仕入れる。お疲れさま、乾杯!

8月22日(日)晴れ
振り返る 稜線たおやか 明日は処暑

 空はもう2週間前に劒岳で見た夏の入道雲ではなく、サラリとすじ雲が流れていた。その中に平標山から仙ノ倉山↑への緑色の稜線がなだらかな線を描いていた。とても和やかで優しい光景に見えてしまうのは、昨日の余韻がドップリ残っているから?
 7:30 平元新道の笹原の登山道を下る。大部分、木道が整備されていて、膝にはありがたい。上信越自然歩道にでると、気温が急に上がるのを感じた。
 9:30 バッチリ待っていてくれたバスに乗って、高速に入る前に温泉へ。徳光S.A.で仕入れた海鮮丼を、バスの中で今日は横から覗き込む人もいなくてゆっくりいただき、無事帰ってきました。

 帰宅すると、鈴虫がリーンリーン羽を鳴らしていた。翌朝ももうツクツクボウシは聞こえなかった。記録的な猛暑続きの夏であっても、生き物たちは季節を先へと進めていた。それとももう鳴き疲れたのかな・・・疲れ知らずの私のハードな夏も終わろうとしていた。

(2010.8.30.記)

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