1月8日(金)晴れ
やっとこさ、山へ行けるチャンスがやってきた。
「なんでこんなに忙しいんや???」って年末から何度つぶやいたことか〜 まぁ、テキパキできなくなった自分にも原因あるのだけど。昨秋来のモヤモヤも重なり、時間だけが着実に過ぎてゆく。久しぶりに近鉄電車に乗って、不変の澄み切った青空と移り変わっていた景色についつい「はぁ〜」とため息が出てしまった。
17:30 今回もありがたいことに、連盟事務所集合。K前さんの8人乗りワゴン車は暮れなずむほんのりした夕日の中、複雑に交差する高速道路をくぐりぬけて、アッという間に大阪南港に着いた。
19:00 かもめ埠頭発マリンエクスプレスに、高速1000円の影響か?車は並ばないでスゥーと乗船できた。連休なのにね。暫しの宴会の後、就寝。
1月9日(土)快晴
自販機の暖かいコーヒーで朝食。M本さんの新型登山靴を見せてもらう。最近はもうプラブーツなんて流行らない。O谷さんは磨きあげた革靴。お見事!年季が入っている。
順調に快晴の宮崎港に到着。K前車が先導。後ろを振り返ってもO谷車がいない。すぐ角のコンビニに寄って、O谷車らしき車に手を振る。「アレッ?」間違った。無線を飛ばすが、やはり?渡した相手はまた寝てる?やっとケイタイで連絡とって、無事合流。やれやれ・・・
高速に入り、目指す山々は春のようにまどろんでいる。雪は?日差しが眩しく暖かい。
えびの高原の道路に入っても、雪は全然ない。昨年とは全然違う。でもさすがに韓国岳は雪を抱いていた。今日はホントに暖かい。雨具も目出し帽もいらない。楽しい雪山ハイキングになりそう。
山朝日 燦々として 霜の華
11:30 霧氷に着飾った潅木のトンネルを歩く。無風でポカポカ陽気。
「今日は絶好!こんな日はめったにない」ウキウキ下山してくる人達に声かけられる。
5合目で視界全開になり、風もなくゆっくり景色を楽しむ。だんだんミヤマキリシマの樹氷に変化していき、右手前方に大浪池の全容も眺めることができた。
遠山の 色の乱れや 春近し
↓大浪池の向こうに小さな黒いモクモクした雲が・・・エッ?なに? 鹿児島の桜島が昨日噴火したらしい。そう噴煙。こんなところまで見える。太陽が反射して眩しくてチャンと写るのかどうかわからないけど、でも写してみなきゃわからないと言うリーダー。そうだね、何事もやってみなきゃわからない。(でも、チャンと写っていた!)
12:40 韓国岳(1700M)頂上。そして念願の縦走へ。ここからはガンガン下る。樹氷はすぐに消えてしまう。そして岩ゴロゴロを過ぎると、ぬかるみズルズルに変わる。振り返ると頂上付近だけ白く、その下は茶色の山肌が現れていた。
14:20 獅子戸岳(1428M)頂上ではもう春!って感じ。ますますポカポカ陽気! 振り返ると、青空の中に穏やかな日差しに包まれて冬山とは思えない茶色の韓国岳がなだらかなラインを描いていた。往く新燃岳方面は太陽が眩しくて、遥かに高千穂の峰が連なっている。↓
15:10 新燃岳(1421M)に来ると、高千穂連峰はますます近くになってくる。新燃岳の2008年8月の噴火した火口は、一部凍って白色とエメラルドグリーンに配色されて、その近くからところどころモクモクと白い煙が上がり、硫黄の匂いも漂っている。この山々は降臨した時代から、未だに盛んな火山活動している。まさに永遠!
15:50 中岳(1832M)からは高千穂はもう間近。赤肌色の溶岩に染まった御鉢がくっきり。これ以上の光景はない。
高千穂も 夕日に融けゆく 冬日和
17:00 高千穂河原の石畳の遊歩道に下り、高千穂河原ビジターセンターへ下山。夕焼けに高千穂峰がますます真っ赤に染まっていた。サングラスを外しても、霧島神宮の鳥居から松林までも。ホントに快晴の一日だった。
回収してくれる車を待ち、霧島神宮近くのいつもの宿に向う。
宿に着いた頃には、もう真っ暗だった。買出し組と部屋準備組に別れる。神宮近くのスーパーで半額表示の地鶏のお刺身、叩き、薩摩揚げ、キビナゴ、トンカツを買占めると、なんとなくホッ!と気持ちが落ち着いた。
宿に帰って、温泉に入る。最近湧き出る温泉がぬるくなってきたと管理人さんがおしゃっていたが、充分暖まることができた。ありがたい!
そして、やっと始まった。明日があるから、良い子になって23:00まで。
「明日、途中まで走って開聞岳に登りたい! 開聞駅発14:06のJRに乗って帰るから」
代表と副代表がいてくれて、ラッキー! 背中を押してくれる仲間もいて、うれしい!
昨年、マラソン走らずに開聞岳登った人は、「頂上近くには残雪があった」と言っていたけど、今年は大丈夫、雪はないと思うし、明日はお天気もいい。こんなチャンスは二度とないかもしれない。ヤッケも持っていなし、膝も少し不安だけど、回収のバスに乗ればいい。まぁ、明日走ってみてから最終決断するけど、携帯電話持って走るから。
1月10日(日)くもり
5:00 勿論真っ暗な中、霧島神宮の石橋を渡って、車は一路南へ。なんかスゴク飛ばしている感じ。
途中、開聞岳に登るO谷車と別れて、指宿競技場へ。いつもと違う海沿いの道路を走ったため、時間ロス。すごい車と人。今回は参加者20000人越えているという。誰かさんはチャッカリ大会経費を計算している、参加費3800円×20000人=?????ウヮ〜!
いつものところにテント設営。着替えたら、すぐスタート時間になった。
9:00 できるだけ前へ行く。昨年の教訓から、すぐ歩道を走る。まぁまぁストレスなく走れる。
やはり今日は昨年よりかなり暖かい。長袖一枚でよかった。上り坂に来ると、前を走るすごい人・人・人が見える。
最初の給水までは長かった。練習してないせいか、スゴク長く感じる。
やっとバナナにありついて、ホッ!
「この坂を越えると開聞岳が見えるよ」誰かの声にホッ! 頑張って坂を登る。
菜の花や 開聞岳は 遥かなり
「ワァ〜!遠い!」
あの麓まであと1時間足らずで行けるかしら? 春霞なのか、ボォ〜と池田湖の向こうに開聞岳が浮かんでいる。菜の花畑も見えてきた。記念に一枚!イマイチ開聞岳が遠く霞んでいる。
11:00 赤い鳥居の枚聞(ひらきき)神社(19km地点)を過ぎて、予定通りの時間にマラソンコースを離れ、一人開聞岳への道に入る。急に一人きりになると、なんかトーンダウン。上り坂であることも影響しているのかも。足がスッスッと前へ出ない。
「エッ?またおなかがおかしい」
公園の入り口のトイレに駆け込む。昨年はずっと給水があったけど、これからずっと一人。空っぽになって、持久力保てるかな?あめ玉3個持っているだけ、チョット心細いな。
11:20 登山口。少し登ると、O谷さん達二人に会う。もう少し登ると、M本さんに会った。
「気いつけていきや〜」
ホッとした気分も混じりながら、これからの一人がやっぱり不安。
冬うらら 一人っきりの 山登り
その不安的中。凹状の急坂が続き、5合目ぐらいまではまぁまぁの道だけど、7合目からはなんと大岩、鎖場の登場。ガイドブックは読んできたけれど・・・
8合目までくると、東の海岸線、長崎鼻?がぼんやり。途中、ゼッケンつけた5人に会った。男性ばかりだった。私が一番遅かった。2時間早く出発した二人もいた。
岩続きの潅木の中、円錐状の山だから右に巻いて巻いて、枚聞神社の奥ノ宮に手を合わせて、やっと着いたぁ〜
冬凪を 見下ろすここが 開聞岳
12:50 開聞岳(922M)頂上。まぁ、予定通り。完全な春霞の中、西の海岸線がかすかに見下ろせる。記念撮影だけして、すぐ下山。
気をつけて下山しなければ・・・こんなところで転んで怪我したって、誰も助けに来てくれない。慎重、慎重!
14:10 登山口下山。下山に時間くってしまった。あわよくば完走できるかな〜なんて思いもあったけど、今の実力では・・・ JRは14:06発だから、JRにももう乗れない。マラソンコースまで戻ろう。
14:20 マラソンコースに戻ると、ホントにここがマラソンコース?確かにマラソンの黄色の旗が立っているから、間違いないはずなのだけど、だぁ〜れもいない。ネコ一匹もいない。浦島太郎になった感じ、無人村みたい、エッ?ウソ〜
とにかく走ろう。走るしかない。やっと地元のおじさんがいて、
「救護車きませんか?」と聞く。
「もうずっと前に行き過ぎたべ」
困ったなぁ〜もう少し走ろうか。
14:30 キュキューとブレーキのかかった音が聞こえたかと思ったら、
「道に迷ったの?リタイア?」
「はい、迷ったんです、リタイアです、リタイアです!」
「ホントにリタイアするの?」
開聞岳に登っていたとも言えないから道迷いにしよう。ハキハキ元気に応答するから、おかしいと思われたみたいだけど、とにかくバスに乗せてもらわなければ・・・携帯電話で連絡してくれた。ホッ!
「ここで動かずに待っていて」
今日は暖かいから、じっと待っていられるけど、寒い日だったら、風邪引いてしまうよ。
また、関係者の車が止まり、
「リタイア? おなかへってない?」
バナナとパンとお茶をもらって、生き返った感じ。
でも、救護車は遅い。ホントに来てくれるのかしら?
14:50 やっと救護のワゴン車が来てくれた。すぐ、ラストを走っているランナーに追いつく。そして一人一人に「大丈夫ですか?乗りませんか?」と、いちいち止まって声をかける。素直に乗ってくれたらいいのに、足引きずりながら歩いていても、しんどそうに走っていても、「いいえ」と拒否する。これが車いっぱいになるまで、延々と続く。これこそホント、たったったまらん・・・・・
菜の花や 薩摩弁らしき BGM
イライラすると、おなかもへってくるので、もらったふかし芋をかぶりつく。
「うまか〜? どこで迷ったか〜? わからないから、迷ったってこと〜」
と、不思議がられたけど、元気な私が乗っていて、痛そうに走っている人は意地でも乗らない。スタッフからは不思議な光景かもしれない。
「時間内に着きませんよ」と声かけても、とにかく完走目的なのだ。その精神は立派だと思うけど、昨夜の救護車に乗ったことのあるKさんの話とは違うじゃない? みんな、どうしているかな?携帯メール入れてみるけど、返信もないし・・・
やっと、ぜんざいの給水場所に来たと思ったら、マイクロバスに乗り換える。乗車人数が増えたら、また遅くなる。あーあ。
やっとJR山川駅でバスいっぱいになって、スゥーと走ってくれるようになった。それからも大回りした感じで、競技場へ。みんなバスをヨタヨタと降りているけど、私だけ一目散に走った。
16:30 遅くなってしまった。みんな全員帰っていて、待っていてくれた。申し訳ない。
17:00 大駐車場へ戻って、やっと指宿を出発。やはり渋滞。
なぜかナビちゃんがご機嫌悪く、途中迷いながら。またK原さんから「ラストビールなんとか・・・」のメールが入って一段落するまで、お姉さま方のご機嫌も悪く、今日はみんなに迷惑かけたから、おとなしく仲介役に徹する。
21:00 神宮近くの宿にやっと到着。K前さん、ずっと一人で運転ホントにお疲れさま、どうもありがとう。
温泉で暖まって、夕食。みなさま、お疲れさまでした。
1月11日(月)くもり
高千穂峰登山の方々は5時起きで出かけていった。
昨日は走るより車に乗っている時間の方が長かったくせに、そんなバイタリティは失せてしまっていた。当然のことながら筋肉痛も全くなく、やはり完走しなきゃダメだね。チョット欲張りすぎたかな?
残り物で朝食。マラソンでいただいたおにぎりを焼きおにぎりにしたり、カップうどんをスープ仕立にしたりして、全部完食。
玉砂利を 踏めば軽やか 春隣
10:00 近くの霧島神宮に参拝。なんとここではお賽銭箱の前、礼儀正しく2列にキチッと並んでいるので、長々とズラッと待っている。イラチの大阪人は、「もういいよ」になって、記念写真だけ。隣の小さなお賽銭箱に投げ入れて、手を合わせておいた。いつもはもっと朝早い時間だったから、自分たちの歩く砂利の音だけが響く静かな神宮をお参りできたけど。
それから、車はK原さんのご実家、鹿児島県垂水市に向う。市内に入ると、急に靄がかかったように視界が悪くなった。これが桜島の噴火の灰。エッ?これが降灰。3日前の噴火がまだ続いているの?
ドアを開け、ほんの少し風が空気が動いただけでも灰が舞い上がる。雨が降っていないから、道路にも屋根にも積もっている。口も無造作に開けられない。
K原さんのご両親がピカピカの笑顔で迎えてくださった。毎日近くの温泉に行くから、お肌ピカピカなのですって。でも、家の側には降灰を集めた黄色の袋がいくつもどっさり積まれていた。
桜島 降灰霞む 冬の浜
すぐ前の海岸に出て、軽石探ししながら、どんよりして雲のかかった桜島↓を複雑な思いで眺める。自然とはいえ、ここで生きていくには西郷はんのようなど根性がいるなぁ〜 一昨日霧島から見たあの噴煙がコレだった〜 今回、一番の衝撃だった。
K原さんのお父さん手作りの竹箸と小さなみかんをいただいて、帰路に着く。宮崎に入ると、やっぱり澄んだ青空と空気にホッとしてしまった。
復路のフェリーも空いていた。車なしの乗客には1000円バックのサービスとかでフェリー会社はたいへん。こちらにとっては温泉もゆっくりくつろげられて、ラッキーだけど。
そして翌朝、定刻どおり大阪南港へ。大阪の空もどんよりしていたけど、鹿児島のあの空を思い出すと・・・
抜群の日和の霧島縦走、一人で走った開聞岳、そして桜島の噴煙。それぞれいろんな思いがギュギュッと詰まった3日間でした。みなさま、いろいろお世話になり、ありがとうございました。
来年も行きます!来年は完走します!
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