春爛漫 心揺られて 小豆島

2008.4.4.〜6.

 この時期に小豆島を訪れるのは、ジャスト10年ぶりになる。ちょうど10年前は、K畑さんに中級修了生5人が連れてきてもらった。チューリップが満開でとてもきれいだった。あの頃は中級修了したばかりで、共に歩んできた仲間と一緒にきて、ちょうど小豆島の温和で穏やかな環境とマッチして、なにもかもが新鮮で、なにもかもが楽しかった。そう、すべてが春爛漫、すべてが楽しい頃だった。

4月5日(土)晴れ
 昨夜は姫路の港で、birthday party をしていただいて、ご機嫌よくお遍路さんの団体に混じり、フェリーに乗る。
 今日は、拇岳赤いクラックへ。以前はリードしたこのルートも全然練習してないし、もう今はできないなぁ。
 ずっとセカンドで登らせてもらう。なんか以前より難しくなっているのは気のせい?でも久しぶりの本チャンはメッチャ楽しい。自分で工夫しながら、自分でうんうんと頷きなが自分なりに登っていけるのは、やはりこの小豆島という温暖さがそうさせてくれているのかしら・・・
 終了点からは春霞の穏やかな景色が広がる。ホント、久しぶり・・・走馬灯のように甦る思い出がここにはある。最後は中川さんと登ったんだっけなぁ・・・
 下山道はすごく荒れている。落ち葉の中をスルスル滑りながら下る。登るより気を遣うよ。

満開の ミモザ見上げて 何想ふ
 車に戻り、吉田へ急ぐ。でも途中、すごいミモザの大木に出会った。真っ黄黄! 隣の満開の桜が霞んでしますほど・・・モチロン、記念撮影。

   吉田の岩場近くのキャンプ場は芝生がひかれていて、すごくりっぱ。温泉もあるという。
 早速、岩場へ登りに行く。一番手前の一番やさしいところから。
 Sさんがリードして、トップロープをかけてくださった。最後に登った私が回収するんだけど、残置のカラビナはワイヤーゲートで、安全環付カラビナではない。
「環付のカラビナじゃない・・・」と下に向かって言うと、
「それでいいんや、みんなそれで下りてくるんや・・・」とTさん。
「エッ!?」
 一瞬、耳を疑った。いつゲートが開くかもしれないカラビナ1個で懸垂下降できる訳がない。仕方ない、回収できなかったら、後で弁償すればいい。最初備えてくれたカラビナと2個使って、ゆっくりテンションかけて下りてきた。
 たぶん1分位だったと思うけど、自分にはとてもとても長い時間を要したように思えた。そして、「自分の命は自分で守る。自分の命は自分で判断して守っていく」と心の中で何回も何回もつぶやいた。
 日も暮れてきて、焦る気持ちがあったのかもしれない。とはいっても、「自分の安全は自分で判断して守っていく、他人に判断を委ねない」と頑固に思うことにした。ちょっとした気持ちの焦りや油断が事故に繋がってゆくことは経験済みだから。
 キャンプ場に帰って、買い出した干物やお鍋で暖まり、ギターとともに、柔らかい春の日の夕餉が、星空キラキラ輝くまで続いていった。

4月6日(日)晴れ
 昨日の続き、吉田の岩場へ行く。
 全然うまく登れなくて、途中で下りてきた。昨日の気持ちが後を引いているのか、登攀意欲も全くなく、なんかあまり覚えてもいない。でもまぁ今の私にはこんなもん・・・とにかく、ケガなく終えられてよかった。
 福田に帰って、白装束のお遍路さんの団体に出会う。小豆島も88ヶ所巡りがあり、歩いて一週間、自転車で2〜3日、お遍路できるという。中川さんのように四国はたいへんだけど、小豆島の88ヶ所巡りはいつか回ってみたい。
 お天気も良く、眩しい光に包まれた2日間だった。今回はマラソンもなく、岩登りだけを楽しめればいいって思ってきたけれど、10年前の何も知らなかった、ただ前だけを見ていた頃とは全く違った小豆島だった。

(2008.4.10.記)

home