澄み切って ローソク岩に シジュウカラ

納山祭・百丈
2007.12.9.

 前夜は2007年納山祭だった。納山祭というより、「この一年間お疲れさまでした」の忘年会であった。
 新しい会員、会友がたくさん加わり、今年のそれは大きく様変わりしていた。いつもいらっしゃる人がいない。たったひとりいなくなるだけで、こんなに変わるものかとドギマギせずにはいられなかった。
 会員よりも会友さんが多い。なんで今年に限ってこんなに多いの?会員はどこにいるの?会員の顔が全く見えない。
「私は今までどおりのYMCCの会員なんだ!」
 って、大声で叫びたいほどの雰囲気がそこにはあった。時代は流れ、人も変わっていくものだけど。それに置いてきぼりにならないよう、努力しなければならない。そう、私にはかなりの努力が必要なのかもしれない。そう、私はこの現世で生きているのだから。

 一夜明け、早朝から初級登山学校に行く人達の足音が遠ざかった後、一眠り終え、河原に出ると、そこにはいつもの静かな光景があった。朝からプシュを片手に、まぁまぁ〜といういつもの光景があった。焚き火を見ていると、ホッとするひとときがあった。昨夜のあの雰囲気からやっと解放されて、ずっとここで寝そべっていたい気持ちになってしまった。

 やっぱりここへ来たのだから、一本でも登ってきたい。そう、いつものように。
 いつものように?T関さんと登ることになり、百丈岩下部岩壁へ。
 なぜかとても懐かしい回顧録が甦り、そうそうここでもこんなことがあった、あんなことがあった、って次から次へとなぜか今日に限って甦ってきた。
 ワンピッチ登り、ふと見上げると、淡いブルーの空にローソク岩がとても、メチャメチャきれいに見える。冬空だから澄み切っているのだけど、鳥のさえずりの中、なぜか今日はひときわ際立っている。
「屏風、屏風、屏風へ行きたい」
 と言って、何度も練習した。ちょうど10年前になる。もう今では6月の屏風なんて、怖くて行けなくなってしまっているけど。
 でも、今日のローソク岩はとてもやさしく迎えてくれている。やっぱりチャレンジャースピリットも忘れてはいけないって言われているのかしら・・・ね!
 一登り終えて河原に戻ると、みんな帰ってしまっていて、昨夜の残り福がたくさんあり、シュウマイうどんをたらふくよばれ、装備を片付けて全部T関さんの車に詰め込み、事務所に寄り道して、あの黒いネクタイの鳥が羽ばたくように今年の山が終わっていった。

 

(2007.12.15.記)

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