何故生きる 何故生かされる 曼珠沙華

中川好治さんを偲んで

その帰り道、曼珠沙華がとてもきれいだった。
曼珠沙華は、「法華経」の中の言葉で、
梵語の赤い花の意味という。
世俗をすべて受け入れ、
輪状に包み込みながら、
炎のように天に伸びている。

最初の出会いは、1989年8月茅ヶ岳へ視覚障害者を連れてこられたリーダー。
H・Cかざぐるまと同じ仲間として歩いてくださった良き理解者。
中級受講と同時に受け入れてくださったYMCC代表。
中級夏が終わり、藤棚での「冬は?」の鶴の一声。
6月穂高屏風岩へ導いてくださったアルパインクライマー。
奥美濃のガスの中、地図とコンパスでの超アルパインリーダー。
フルマラソン、大先輩。
下山して足の向く先は、杉玉を吊るしてある家。
投稿「なんでもいいよ」とそのままOK、虫の広場編集長。
ちぎれそうなアブミで模範演技、アブミの神様。
ケガして復帰第一歩の六甲縦走、タマゴタケ見つけ、ニコニコきのこの神様。
そして、心に沁み入る般若心経、お遍路さん。

「マリア様にはなれません」と反抗した時もあったけど、
最後の日も前歯が少し見えて、笑っていらした。
私はただ手を合わせることしかできなかった。

一升瓶片手にうれしそうに頬を赤らめ、
「そう、そう」とすべてを受け入れる姿が交錯する。
小さい頃は毒々しいと思っていた赤い色も、
今はやさしく目に溶け込んでくる。
人の心を穏やかにするという天界の花、曼珠沙華。
私もその恵みを少しだけ授かっていたのかもしれない。

天界の 恵みに感謝 曼珠沙華

「秀覚好道信士位」 合掌

(2007.9.7.)

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