沢の音に 負けぬものかと 蝉時雨

上地川唐戸谷・扇ノ山
2007.7.7.〜8.

7月7日(土)くもり
 初級課外授業として、先月初級実技山行雨のため中止となった上地川(わちがわ)唐戸谷への計画に、乗っからせていただいた。今回も怪しい天候なので、K原リーダーは第4候補まであげていたけど、気まぐれ異常気象はなぜか?なんとか?踏みとどまってくれたよう。
 20:30 7.7.7.の日、7名乗せて、JR新三田駅からK原車は中国道を西へ。山崎I.C.から宍粟市波賀道の駅にて、国道沿いなのでトラックが多いけど、そんな騒音には負けるはずのない、久しぶりのささやかな宴会が始まる。

7月8日(日)くもりのち晴れ
 ゆっくり起きて、自販機のホットコーヒーにホッ!として、出発。
 9:30 上地川唐戸谷入渓地点ギリギリまで、車で移動。なんか暗そうな沢。
 今年初めての沢なので、足元怪しい、妖しい? 苔も多いし、倒木も多い。感覚が戻るまで30分はかかっただろうか。
 10:30 左と右から流れる幅広い滝にきて、やっと回りをゆっくり見られるようになった。なんだ、ブナの緑に囲まれ、青空も見えているじゃない。
 相変わらず倒木多く、荒れているという印象は拭えない。粘土質の山のためか岩も赤黒く、そこを流れるせせらぎはとてもやさしくて気持ちよく、小さな滝が次々現れ、考えながら工夫して歩けるのが楽しい。
 11:30 唐戸谷のメーンwaterfall、30mの大滝でマイナスイオンを思いっきり浴びる。こんなことも久しぶり。ここは左から巻いて懸垂下降。
 この滝を過ぎるとまもなく沢は途切れて、大ズッコとの間の稜線に出た。

やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声   芭蕉
 ずっと自分が耳鳴りしているのかと疑いながら歩いていたけど、ずっと蝉時雨を聞かされていた。28℃を超えると、一気に鳴き始めるというのだから、標高1000M前後のところでも、里山の沢であるからなのだろうか。
 おそらく永遠に続くだろうこのせせらぎの上に抜け殻を残して成虫となる。地中の数年間に対して、地上に出てきてわずか1週間という命。そんな神秘性を、ドタサンして今ここにきている偶然とを思い、つい緑で覆われている天を見上げてしまった。
 14:10 展望のない稜線をアップダウン繰り返しながら歩く。日本海からの強風にさらされながらも、一旦折れ曲がって力尽きても、また曲がりくねながら天に向かって伸びているたくさんのブナ林の力強い光景に目を奪われる。
 14:40 立派なガラス張りの非難小屋の建つ扇ノ山(1309M)に着いた。木のベンチがあり、小さなハエがたくさんブンブンしている。ハエではなくアブの小さい虫で、足を少し出していたからいっぱい刺されていた。要注意!
 14:55 下山は来た道を少し引き返し、但馬尾根を下る。下り始めは腐葉土の上を順調だったが、後半、粘土質の土に変わり、滑りやすい上に急勾配。落ちている木をストック代わりにして、3本足で下る。これからは膝を痛めないように、ストックの必要性を考えなければなるまい。
 16:20 車に戻って、ゆはら温泉"ふれあいの湯"(400円)でさっぱりして、暮れなずむ中、コープ波賀の片隅をお借りして乾杯。それから超特急で新三田駅に帰ってまいりました。ラッキーな一日、どうもありがとうございました。

(2007.7.31.記)

home