春日浴び サクッサクッと 野伏ヶ岳

奥美濃snow俳句ing
2007.3.16.〜18.

「八よりは増しでしょう」
「エッ!? 八と比べるの?」
 奥美濃で、ヘルメットやガチャ類はいらないし・・・と、どことなくそんなイメージに陥っていたけど、寒さに関してはそうなのかな?
 超暖冬の今年、梅はもう散り始め桜の開花宣言が出そうだったのに、寒の戻りではなく、お彼岸前にしてやっと?真冬の寒気団が降りてきたのだ。東京でやっと初雪というニュースも流れていた。

3月16日(金)
 22:00 千里中央集合。K原車とK野車で出発。多賀S.A.で多賀ラーメンをいただいて、K原車の後ろ座席をフラットにしてもらって横になる。それからひとつS.A.に寄り、ヘアピンカーブに揺られる夢をみて、岐阜県郡上市の白山中居神社駐車場に着いた。雪は道路には全くなかったが、道端にはたくさん残っていた。(730M)

3月17日(土)快晴
「あ〜、寒かった」
 車の中も雨具だけではメチャ寒い。私達の仮眠中も地元の人であろうか、日帰りの感じで登っていかれた。
 9:10 特別天然記念物の石徹白のスギってあるらしいけど、ここの青空にそびえる大きな杉の木々を見上げながら、石徹白川の橋を渡る。

ご褒美の 青空ぽっかり 山うらら
「わぁ〜」
 真っ青な空のずっと奥に真っ白な野伏ヶ岳の山並みがポッカリ現れた。これから登る山がこんな風に目の前に出てきてくれるなんて、めったにないよね。メチャ爽快!
 早速カメラ登場。なんといっても、K原リーダーのnew一眼レフデジカメが光っている。
 護岸工事を横目で見て、林道へ入ると徐々に雪が現れる。太陽サンサン照りつけ、昨夜の寒さが嘘のように汗がタラタラ。見下ろす石徹白の村並みがキラキラしている。1時間も歩くと、ショートカットして杉林の中へ。
 杉林から雑木に変わり、順調に高度を上げていくと、フッと右手北東に初河山、芦倉山の真っ白な山並みがクッキリ浮かび出た。サングラスを外してボォ〜と青空を背にしている山並みを追う。2時間弱で、こんな景色に巡り会えるなんて!
 11:10 B.C.となるダダ広い旧和田山牧場(1100M)に出ると、吹きっさらしの中、ヒョコッと野伏ヶ岳が大きく現れた。昔の人はこんな山奥に牧場を作ったんだね。積雪2M。記念碑が1Mだけ頭を出している。
 雪はここ一週間ほど降ってなく乾いていて、風よけブロックは上手に切れないけど、雪を相手に童心が甦る。10人は入れるドーム型のアライの6テンと4テンを設営。トイレ作りは50cm掘るとぬれざらめ雪が出てきて、ゴソッと底なしになりそうだけど、まさか落ちないよね。

麦酒手に 雪のソファーで やせ我慢
 太陽はサンサンだけど吹きっさらしの雪原の中、わざわざ作っていただいた雪のテーブルとソファーにて乾杯。でも耐え切れず、10分でテントの中へ。午後からは風も強くなる。トイレへの道もすぐ埋まってしまった。
 テントに入れば、もう動かない。ビーコン練習?滑落停止練習?雪崩講習会?また明日。
「初級冬だとこうはならないよ〜」
「でもこれから夜まで長いよ〜」
 明日5:30出発にして、20:00就寝、17:00から夕食の水炊きとリーダーが決められて、ゴソゴソおつまみで時間を遊ぶ。こういう時間も結構好きだよね。
 私が担当する水炊きの具は、計画書にしっかり記載してくれてあったのでとても楽だった。その他担当の新人のT代さんは気を遣われたようで、手作りつくね等いろいろ準備されていた。ここでは鍋奉行もいなく、同じ鍋に個々の箸でつっついて、明日へのエネルギーは充分すぎるほど補えた?

春の星 テントの灯りへ 降り注ぐ
 外に出ると、雪は降っていなく風も少し収まっていた。テント内の灯りから夜空に目が慣れてくると、初め見えなかった星々が全天に満天に広がってきた。そろそろ黄砂の季節だけど、今夜は新月前だから。明日もいい天気!ヤッホー!

3月18日(日)快晴

春曉に 目覚めさめたる 白き峰
 6:10 "春は曙"おぼろげな太陽が目指す白い峰を照らしている。昨夜の風と冷え込みのおかげで少しクラストしていて、アイゼン、ワカンなく歩ける。牧場を抜け、なだらかに尾根へと繋がっている。一週間前、S峰会のメンバーはラッセルラッセルで頂上まで6時間かかったとか?
 朝一番の尾根は見事なほどダイレクトに、サクッサクッと登っていける。樹氷はかすかに留まり、春ののどかな光を受けてダイヤモンドダストがけなげに輝いている。

 振り返ると春霞の中、奥美濃の南から東の山々がズゥッ〜と見渡せる。
 南のずっと奥に平家岳、滝波山。5年前に登った時は、やはり奥美濃は奥深いなぁという印象だった。視界3Mのガスの中、N川リーダーのルートファインディング頼りの縦走だった。でも今回はこの天候のせいか、自分が車の運転をしていないせいか、あの時の印象とはかなり異なってしまっている。
 東の大日ヶ岳の峰々も幾重にも重なり合っている。向かいのスキー場も我々のB.C.も点在する地塘らしきも見下ろせる。
「あ〜、また晴れ女の証明をしてしまった!?」
 8:45 ダイレクトを終えると、野伏ヶ岳(1674M)の広い頂上に着いた。360度の展望!

浮雲も ゆったりなびく 春の空
 北には加賀白山がドーンと構えている。メチャメチャ大きい! あの浮雲がもう少し速く流れてくれたら全容が見渡せるのに。一番手前が別山だけど、今まで眺めていた奥美濃の山々とは全然迫力が違う。やっぱり加賀白山は大きいんだ! 薙刀山からずっと福井県、石川県との県境を白山まで縦走できるのかしら・・・
 南への稜線も暖冬だったせいか、雪庇はあまり発達していないし、なだらかな山並みが続いている。でも、天候ひとつでこんなに印象が変わるものかしらとつくづく・・・
 下りは転げるように・・・ではなく、膝を痛めないように好き好きに下ってゆく。どんどん登ってくる山スキーやスノーシューの人に出会い、朝方の静寂さはもうない。
 ビーコン練習をし、北に目を向けると、いつの間にか加賀白山が全容を現していた。
 暑いけど日除けに目出帽を我慢して被る。こんなピーカンになってしまって・・・
 11:00 無事B.C.に帰り、テント撤収して、昨日よりグサグサに融けている雪道を下る。

待ちわびて 押し合う物芽の 息吹かな
 林道に出ると、土手は黒い土を覗かせていた。ついつい目がうろうろしてしまう。
「もう、採られているよ」
 12:45 全員無事駐車場に到着。感謝、感謝、全てに感謝!
 雪の白山中居神社にお参りしてから、石徹白スキー場を見上げる"満天の湯"\800に寄って、白鳥道の駅に寄って、いつもより遠慮がちな寄り道コースを終えて、無事帰ってまいりました。運転もずっとしていただいて、どうもありがとうございました。

P.S.
 後日、YMCC30周年記念山行の企画提案があったけど、今回の山行みたいだったら、ベースまでは軽く行けるし、ピークハントを自由にすれば、みんなで行けるのになぁ〜と・・・
 3月だから・・・と服装にはあれこれ迷った。今後のために記しておく。下着、ハイネックTシャツ、ウールシャツ、そして雨具。+フリース。夜は羽毛上下、テントシューズとシュラフカバー。でもそろそろガタのきているこの身体のためにシュラフを奮発しよう。

(2007.3.31.記)

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