古戦跡 石仏たずねて 初詣

湖北・呉枯ノ峰
2007.1.14.

 暖冬、暖冬、超暖冬・・・ひとひらの雪さえ降らない。山に雪はあるのかな?と思いながらも、N川リーダーの計画書を見て、ゴソゴソ久しく使っていなかった懐かしき"わかん"を探し出す。プラブーツも久しぶりになでなでしてみる。
「雪はないから、わかん不要、軽登山靴で・・・」
 相変わらずのドタサンでバタバタしている前夜、N川リーダーからみんなに詳細連絡。昨年のN川さんの記録をHPで見てみると、しっかり雪景色なのに、やっぱり今年は暖冬なんだ。でも正直なところ、最近のこのグータラな身体はホッとしている。
 草津から5人一緒になり、東海道線から北陸線木ノ本駅へ。木ノ本駅は今工事中。エレベーターも設置されていて、駅内では暖房完備の地元農産物の即売所もあり、メチャりっぱ!
 9:30 駅前より北国街道への地蔵坂を通り、浄信寺の眼病平癒の仏様といわれる木之本地蔵に手を合わせる。だから木之本地蔵はウインクした陶器製のたくさんの蛙に囲まれている。
「N川さん、足・・・」
 N川さんはまた今年、四国遍路をするとおっしゃっている。どうしてそんなにお遍路さんに引き寄せられるのかしら?私でも10年後にはそういう心境になれるのかしら?・・・ちょうど10年前の1997年、中級登山学校にがむしゃらに行っていた私と今の私は違う。人は変わる。これからの10年でどんなに変わっていくのかしら・・・
 地蔵院を通り抜け、伊香高校の横を通って山道に入っていく。雪は全くなく、イワウチワの葉っぱだけがベチャッと地面に張り付いている。O川さんがヒラタケ発見!これも暖冬のせい?
 ジグザグの急坂を一登りすると、稜線に出た。太い松が乱雑に?伐られているので、東の己高山がよく見渡せられる。922Mの己高山はうっすら雪を被っているようだ。
 稜線を北へ緩やかに辿っていくと、徐々に雪が現れてきてなんとなくホッ。
 11:00 一等三角点のある呉枯ノ峰(531M)では積雪20cmになっていた。雪を乗せた笹原の中に、うっかり見過ごしてしまいそうな小さな標識がヒョロロと立っている。その傍らに、どっしりした一等三角点が鎮座している。
 雪の中、シカの足跡に誘われて、またまた北へ緩やかに辿っていく。雑木の間から弱々しい太陽に照らされて、余呉湖、その向こうに琵琶湖が鈍く光っている。

静かなる 枯れ木の先の コゲラかな
「クェクェキキキ〜」
「コゲラかな」とN川さん。
 すごく高いブナの木の先端にいるのでよく見えない。昨年12月六甲キャッスルへ行った時、鳴き声ではわからなくてキツツキのように木をつついていた鳥。背中のシマシマ模様を老眼かかりかけている目でしっかり見据えたことと一致させて、これでやっとひとつインプット!
 暖冬で冬眠していない熊ではなく、猟犬4匹に出くわす。ケガ?猟をした痕?赤い血が雪の上にポツポツ・・・襲ってこないことはわかっていても、大型犬はウェ〜おっかない!
 管山寺分岐からは木之本の町並み、琵琶湖のどこからも見えるので戦の目印だったという山本山、そして大きな琵琶湖が見渡せる。管山寺へは急坂をガンガン下ってゆく。
 12:00 やっと管山寺の屋根が見えてきて、ブナ林の中、スゥ〜とひんやりした風が心地よい。本堂に手を合わせて、重要文化財の鐘楼をゴーン。管山寺は真言宗。N川さんから般若心経のコピーをいただき、後について朗読。N川さんのように上手に唱えられなくて、ただの朗読。
 Mツ川さんの豆乳鍋が冷えている身体においしい。O川さんの甘酒も染み入ってゆく。ごちそうさまでした。
 13:00 管山寺の山門両脇には、菅原道真公がお手植えされたという樹齢数百年のケヤキの大木がどっしり構えている。近江天満宮には寄らず、管山寺分岐へ戻り下山。広葉樹が続く参道に小さな30cm程の石仏がある。

冬ざれや 首なくて足る 地蔵さま
「エッ!???」
 しかし、なんとヒョコッと首が取れる。誰かがいたずらしたのか?またその上にそっと乗せて、手を合わせる。そして、次の石仏には頭がない。その次も、その次も・・・たぶん八十八並んでいるのだろうけど、その半分は首がなかった。苔むしている石仏だからかなり古いものと思うけど、心ないいたずらなのかな?哀しい現実。
 せっかく、樹齢数百年の歴史あるケヤキの大木や豪壮な管山寺を巡ってきて、新年早々、清廉な気持ちを充足させていたのに、なんか妙なところでガクッときてしまった。
 14:20 北陸自動車道をくぐって、赤い大鳥居もくぐって、バス停へ。梅の蕾がもうほころび始めている。春は近いね。
 木ノ本駅に戻り、北国街道木之本宿散策へ。「こんな小さな町でうだつある白壁の古い民家がたくさん残っているね」と、N川さんについていったら、大きな杉玉を吊るしてある家へ。
「な〜んだ、さっきからソワソワしているように思ったんだ」
 仕方なく?一緒に中に入り、今日できたての試飲にお付き合い。ウァ〜、甘い!これはメチャ危ない!
 暖房完備の木ノ本駅でほろ酔い気分をいただき、古刹巡りと雪山ハイクを兼ねた、とても充実した初詣山行でした。ドタサンで甘えているばかりでなく、今夏はチョットした縦走計画もたててみよう!と、ふと年始に思いました。ふとね。

(2007.2.5.記)

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