霙打つ 御在所岳に 終止音

御在所岳きのこ&クライミング
2002.11.1.〜3.

11月1日(金)雨時々くもり
 22:00 名阪上野ドライブインにて合流。お天気は非常に怪しいが、久しぶりのYMCCの山行となっている。私はI垣車に乗せていただいて、T関車とともに雨に向かって走っていく。
 24:00 鈴鹿スカイラインの武平トンネル手前の駐車場に車を置いて、真っ暗な小雨の中、食材は男性陣に持っていただいて、藤内小屋前のテント場へ。
 0:30 先発隊はもうおやすみだったようで、起こしてしまったかな? 暫し一服の宴にくつろいで就寝。

11月2日(土)くもり時々霙
 8:00 きのこ鑑賞組とクライミング組に分かれての行動。今にも降り出しそうな怪しいお天気ながら、見下ろす四日市コンビナートには陽が射している。でも藤内壁を見上げると、紅葉の中に雲がどんよりかかり、雪?エッ?ウソッ? 一週間前に大山から初雪の便りがあったが、まっさかこの御在所岳ではないだろうと思ってきたのに、ちょっと覚悟が足らなかったなぁ・・・
 裏道を30分程歩くと藤内壁への分岐となり、その藤内沢を登っていくと、左側に一の壁、右側をつめると前尾根になる。
 濡れている前尾根の1P目をとばして2P目のスラブをT関さんがリードされる。待っている間、風が冷たくなり寒くて震えてくる。エッ、み・ぞ・れ? まっさかこの時期にここでクレッター・手袋で登るなんて・・・手がかじかんできて感覚がなくなるし、鼻水がツルツル出てくるし、岩は濡れてくるし・・・
 先に登ったMツ川ゆかさんから、
「Yこさん、鼻の先、真っ赤よ・・・」と。
 こんなことで、ブツブツ言っていたら冬山なんて行けないよなぁ・・・と思いながらも、覚悟しないできたからと自分に言い訳する。I垣啓子さんからホットレモンをいただいてホッとする。T関リーダーは今日のところはこの1Pだけで下山と決められ、またまたホッとする自分がいる。
 帰り道、一の壁にも白いものが・・・あれは光っているのではなく、雪だねぇ・・・
 "兎の耳"を見上げても濡れているのでパスして、テンバに戻る。
 13:00 きのこ鑑賞組はまだ帰っていなくて、私達もきのこ鑑賞へ。「ないね、ないね・・・」とまたブツブツ言いながら、樹皮の中にかわいいクリタケを見つける。
 中道との分岐点にちょうどいい感じのボルダリングの岩があり、きのこを忘れて遊んでしまう。運動靴だからズルッと滑って飛んだりするけど、かなりはまってしまったよ。
 きのこ鑑賞組は雪と紅葉の中道を登って、ロープウェイで下山されたようで、重そうな袋を持っていらっしゃる。
 テンバに戻って、夕餉の支度。虫鍋の中にクリタケやナラタケがあふれ、6テンに12人があふれ、12人分の食材もあふれ、麦や米の液体もあふれているせいか?虫鍋の湯気の向こうに笑顔もあふれている。
 初時雨は相変わらず降ったり止んだりで、夜も更けてくると底冷えがする。久しぶりのYMの山行なのにね。山はこういうものよって教えられている気がするね。

11月3日(日)晴れ
 今日は青空が広がった。外での朝食は昨夜の残り福うどん。
 7:30 きのこ鑑賞組とともに裏道を登る。昨日同様、前尾根の取付きへ。T関・N島・Mツ川パーティは木登りルートを、I垣PとS原・U田パーティは右のクラックを。準備をしていると、くすのき山遊会の陽気なメンバーが登ってきた。
 1P(P7)S原さんがリードされて、セカンドで登っていく。が、うまく突っ張れなくて滑る。ダブルザイルの1本がたるんでいて、少し待ってA0で登る。
 2P 大きな岩をかかえて、昨日のテラスまでザイルを延ばす。
 3P(P6)昨日のスラブを快適に?登る。
 雪の残っている道をコンテで歩く。風はまだ冷たい。
 4P(P5)風化したU級ルートを登ると日当たりに出るが、風がピューと強い。行く手にヤグラのピークが望める。
 11:00 昨夜、どういう話の流れか?I信先生のご提案なのか?明日のテンバ出発が16時から13時に変更になって、ここでタイムアップ、終了となる。T関パーティとI垣パーティを待って、懸垂下降2P、下降路1P下り、登ってきた道を引き返す。
 まだ一の壁には雪が残っている。紅葉、黄葉、針葉樹から目を移せば、四日市コンビナート、伊勢湾、知多半島が霞んでいる。中級実技以来の久しぶりに望む懐かしい景色に見とれてしまう。初心の頃を思い出しながら、公害問題で火を噴き出すコンビナートの煙突はなくなったが、人工的なこの光景をなぜか私はとても愛しく思っている。
 14:00 テント撤収して、駐車場に戻る。希望荘で温泉(500円)に入り、Y下明美さんが見つけたというとろろ料理のお店でとろろかけごはんを3杯もおかわりして、ご機嫌よく帰途につく。
 久しぶりにたくさん集まった賑やかなYMCCの山行でした。いろいろお世話になり、どうもありがとうございました。

一筋の 光を抱いて 山眠る
「Uッちゃん、あれは危ないでぇ〜」
 後日、丹波屋でK会のT・Aさんが言う。前尾根の1P目、ダブルザイルの1本がたるんだまま登ったことを。
「Uッちゃんのこと知っているから、もうドキドキしたで。あれ見て、連鎖反応おこして、T・Tさんはあの人が落ちるってことは・・・とビビって、ハーケン抜くしぃ・・・」
 隣で聞いていらしたA会のIさんも、
「一番乗っている人が一番危ない。ちゃんと言うとかなあかん・・・」と。
 こんな言葉は数ヶ月前にも聞いたような気がして、ドキッとしてしまった。たぶん今の自分はそうなのだろう。ヒアリーハットは公開して、以後気をつけていきたいと思います。
 なお、K会のメンバーにはイニシャルで公表すること了解済みです。

(2002.11.30記)

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