木曽駒の 今を照らせよ 御来光

木曽駒ヶ岳西横川遡行と宝剣岳
初級夏山登山学校修了山行
2002.8.30.〜9.1.

8月30日(金)晴れ
 22:00 千里中央集合。早いものでもう修了山行。今回は受講生12名とコーチ13名。コーチが生徒を追い越した?!でも、O谷、I立、K浪コーチと受講生のT田さんのお見送りとありがたい差し入れを受ける。
 6月の穂高屏風岩で無線機がダメになっていたので、I立コーチに頼んでおいた無線機(18,500円)を持ってきてもらった。笛吹川の時にズゥーと送信状態になってしまって内緒話が筒抜けになっていたそうだ。無線機というものは誰かが持っていればいいのだけれど、誰かが持っていなくてはならないし、♪なけりゃないで不安だし、あればあったでじゃかんしい♪♪♪

8月31日(土)快晴
 未明、駒ヶ根高原の駐車場に着き、暫し仮眠。
 6:00 4月からズゥーと会計をしてくれているT中コーチ(くすのき山遊会)は今日もたいへん。
「いくらぐらいかかるかな」
「5万はいるんじゃない」結局5万円では全然足らなかったそう・・・
 路線バスに乗ってヘアピンカーブに揺られて、しらび平へ。おニューのシーバーの確認。今日は、え・お班担当。
 7:15 中御所谷支流西横川は、少し戻って堰堤を右から巻いて取り付く。落石、流木が多くて、エッ大丈夫かな? でも、最後の夏という感じのメいっぱいの太陽を浴びているので、とても明るい。
 ゴロゴロした石をうまく乗り越えていくと小さな滝がいくつも続いている。5M滝のシャワークライミングに初めてザイルにタイブロックをかけて登る。顔にドバッーと水がかかるとウッー息ができない・・・ 受講生に先に登ってもらって、S田コーチ(淀屋橋労山)と一緒にザイル回収。
 9:00 すぐなだらかな30M大滝が現れて左側を登る。なだらか過ぎて登りにくい。トップを行くM本コーチがザイルを延ばしてくれている。
 落石、浮石、流木の多い状態がズゥーと続いているので、少々し・ん・ぱ・い。でも今年の受講生はとても元気なので、大丈夫かなと振り向いてもスッスッと登ってくる。と思っていたら、なんでもないようなところで、ズーと滑ってしまって、オーイと呼ばれて、気が付かなくてゴメンネ。
「今日は遊ぶようなナメもなく直登ばかりや・・・」と受講生の一人がつぶやく。
「効率がいいんじゃない・・・」とM本コーチ。
「YMっぽい表現・・・プッ」
 確かにナメ状が続くのだが、今までのようにペチャペチャ歩けるナメではない。急勾配で意外と滑りやすいナメだけど、緊張感も心地よい。そしてやはりアルプスという開放感と共に大きさも感じられる。高山植物も最後の花盛りを彩ってくれている。イワツメクサ、ウメバチソウ、タカネヤハズハハコの白、シモツケソウ、ヨツバシオガマのピンク、ミヤマキリンソウ、オオミゾホオズキの黄、そしてトリカブトの紫。まだ残っていてくれたんだねとうれしくなる。
 11:30 奥の二股にきて、右側の30Mの大滝へ。両側が迫り立っていてガレっぽく、苔も多くて用心深く左側を登り、ザイル頼りに左にトラバース。
 12:00 最後8Mの涸れかかっている滝を受講生思い思いに好きなルートに挑戦して終了。
 12:40 そのまま直登して遭難碑のある長谷部新道に出る。標高2550M、高度差約900Mのまさしく沢登りだった。13:10
 13:30 トラロープに沿って、トラバース。沢とは異なったお花が迎えてくれる。ウサギギク、ミヤマダイモンジソウ、覗き込むとアオノツガザクラ。
 14:10 パァッーと開けた感じがしたら、一般道に出た。ホッとして道にザックを下ろして座っていると、千畳敷山荘の人らしき人が飛んできて、
「大阪から来た25名の方々ですか?こんなところに座らないで下さい。もう少し行けば大きな広場がありますから。ロープの中に座らないで下さい」
と、早口で矢継ぎ早に言われて、
「どうもすみません」
「ロープの中に座ってはいません」って言いたかったけれど、もうおとなしく立ち上がって、広場まで移動する。25名の登山届けを出すと目立つのかな?
 14:30 広場からそれぞれ今日のテンバ駒ヶ岳頂上山荘キャンプ場へ向かう。見上げるとカールから浄土乗越まで石を針金で縛ったジグザグの八丁坂が続いている。
 15:30 宝剣山荘を過ぎると赤土になってコマクサが植地されている。久しぶりにコマクサに出会ってすごく懐かしい気持ちになる。やはり高山植物の女王様だね。もう全くの自然には出てきてくれないんだね。
 16:00 やっとこさテンバに到着。ア〜、疲れたび〜・・・ 穂になってしまっているチングルマを囲んで夕食準備。私は軽量化ピラフと家の庭に自然と大きくなった青ジソの葉をパラパラかけたゴマ風味のゴマかしサラダ。生米を炊いたご飯はやはりおいしいね。
 太陽が沈むと寒くなってきて、受講生が持ち上げたドーム型テントに移動。今夜は満天のお星さま。北斗七星が寝転んでいて、天の川が横たわっている。日本のお茶(?)巡りをして、早々就寝。20:00

9月1日(日)快晴
 4:30 ほんわか明るくなってきて、皆御来光を見に行くというので、ミーハー魂がくすぐられて、サッサと朝食を済ませて外に飛び出す。
 5:15 木曽駒ヶ岳(2956M)山頂からはお隣の空木から御岳、北、妙高、浅間、八、秩父連山、南、そして黒い富士山が雲海の上に浮かんでいる。南アルプスと秩父連山の間から御来光が浮かび上がってきた。薄い水色がオレンジ色に染まっていくのを見るのは富士山以来かな?
 6:50 テンバに戻って、片付けをして中岳を経て、宝剣岳へ。
 7:30 空身でピストン。宝剣岳(2931M)頂上ではドキドキして半畳もない岩に登って、昨日遊べなかった分を堪能・・・屏風岩を登る人がこんなところでキャーキャー言っててどうするの?
 8:00 浄土乗越からまたジグザグの石畳を下る。ロープで囲まれているお花畑には、もう茶色に染まったコバイケイソウの葉、その中に小さくトウヤクリンドウ、ミヤマリンドウが遠慮がちに咲いている。振り返ると弓張月が浮かぶ快晴の青空の中に千畳敷カールの緑と宝剣岳の岩とのコントラストが見事に調和している。
 8:40 ロープウェイ乗り場に着く。場違いな所にいる感じだから端っこに寄って、お疲れさまの乾杯をする。
 9:20 ロープウェイからは中御所谷の5段程あるきれいなスゴイ滝を見て、「来年はここ、ココ」とみんな気持ちが勝手に飛んでいる。隣でK原校長が「エッ、エッ・・・」
 貸切の路線バスに乗って、お地蔵さんに手を合わせて、駒ヶ根高原の駐車場に戻る。温泉に入って、五平餅と信州そばをいただいて、無事修了山行を終えたのでありました。

童心に 帰る魔力や 沢登り
 とても素晴らしい修了山行だった。そしてとても楽しい初級登山学校だった。コーチとして入らせてもらったのに、こんなに楽しくっていいのだろうか?なにか忘れていないだろうか?と時々考えたりしたけど、私のできることをすればいいんじゃないと思うことにした。受講生のみなさんはとても熱心で意欲満々。その気持ちに押されて自分も歩いている感じだった。
 この修了山行は当初の予定は大台黒倉又谷だったが、道路が通行止めになって変更された。私にはこの時期に中央アルプスに来ることができてとてもラッキーだった。K原校長の飛躍的なリーダーシップにより楽しく無事に終えられたこと、そしてコーチの仲間に入れていただき、感謝の気持ちいっぱいです。

(2002.9.2.記)

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