おかげさま 初フル完走 チョーうれし!

小豆島道楽トライアスロン
2001.11.23.〜25.

徒然に タートルのごとき 恋心
 昨年の小豆島ハーフマラソンが終わった頃から、いつか私も一度でいいから、フルマラソンを走ってみたいと思うようになっていた。ハーフでもしんどいのだから、フルはその倍あるし、第一、そういう練習ができるだろうか・・・
 でも、フルを走るのだったら、やっぱり仲間と一緒に行く小豆島タートル(海亀)マラソンで走りたい。独りポツンと参加して、フルを走りきれる自信なんて全くないから・・・
 8月から少し走り始めて、9月は計40km、10月は計60km、11月は計113km。まあ、これが私の精一杯の時間かな? 1日1qでも毎日走ろうと努力したけど、1日10q以上走ったことはなかった。
 小豆島までの交通手段も、結局はI信先生が車を運転してくれることになって、前日の拇岳クライミングも、M本さんは足に疲れが残らないようにと、人工登攀は避けて赤いクラックルートにしていただき、妙な好奇心を抱いたばかりに、いろいろお心遣いをいただいた。
 「やっぱり、フルはしんどいんだぁ・・・」と、ウジウジ思っていると、おなかまでキリキリ痛くなって、病院に行っても、「別にどぉってことないよ」という答えだし・・・ 5時間越えたら、タイムリミットの車に乗って帰ることになるのに、あ〜ぁ、えらいことになってしまったなぁ・・・

11月23日(金・祝)晴れ
 19:00 M本さん、I信先生、S原さんと、JR森之宮に集合する。JR環状線で、M本さんとばったり会い、「さっき走っていたら、バタッとこけちゃった」と、バンドエイドを貼った手が痛々しい。M本さんでもこけることがあるんだ・・・
 21:00 いつもの姫路港近くの神社は、駐輪場になっていて、ライトが赤々としてテントを張って眠れる状況ではなく、反対側の小さな空き地にテントを張る。
 暫し、暖かいものをいただきながら歓談する。話題はやはりマラソンのことになる。
「どのくらい練習した?」
「11月になって毎日5kmぐらい。今週になって、10km走ったよ」
「レース前1週間はストレッチぐらいにしなきゃ・・・」
「エッ・・・」
「まあ、ええやん、一回走ってみたらええやん・・・」
 もっといろいろアドバイス受けたいけれど、これ以上話すると、プレッシャーでショボンとなりそうなので、釣りやS原さんの話題に変えてくださる。
 23:00 今夜は優等生、早々就寝する。

11月24日(土)晴れ
 7:15 いつものフェリーで福田港へ向かう。
 8:55 もうすぐ師走というのに、穏やかな小春日和の小豆島が私達を迎えてくれた。
 9:25 拇岳登山口にM本さんと私を降ろして、I信先生とS原さんは海釣りに行かれる。
 9:50 3連休のせいか、取り付きには、大阪ぽっぽ会のI東さん、Y田さんパーティをはじめ、3パーティが順番を待っているので、私達は赤いクラックルートの右の右ルートを登ることになった。
 1P いつもどおりにM本さんは軽快にリードして行かれる。ところが、「カーン、カーン」とハーケンを打ち出した。エッ、昨年運動靴でリードしたところっておっしゃっていたのに・・・
 カラカラ天気で、勿論岩は乾いているけど、乾いた苔みたいなのが多くて、岩自体がどこもかも丸い。軟鉄のハーケンなので、回収できなかった。
 2P ブッシュの中を登る。ウロウロして、リングのあるところで切らせてもらう。
 3P M本さんは左側を登っていかれた。
 4P 赤いクラック右ルートに出て、丸いスラブ状の岩を登る。
 5P 赤いクラックルートの最終ピッチに出て、左へ回りこみ、壮快なカンテを登リ、ピークに出た。12:30
 春霞のような瀬戸内海の凪を眺めながら、それぞれのパーティが話している吉田の岩場やそこを開拓された織田さんという方の話題を聞きながら、余韻に浸る。
 クローバーらしきピンピンクの花の中を下山して休憩していると、ピッタシI信先生の車が迎えてくれた。かなり釣りの成果があったようで夕食が楽しみ。。。
 土庄へ向かう道でI信先生は、いろいろ説明してくださる。
「フルはこの大部まで来るんだ。ここらあたりがフルの折返し点。この坂が苦しい。この"道の駅"でトイレすればいい。脇道を走るから、こんな長い坂は走らないよ」と。
 いつもの土庄町消防署のグラウンドには、もうN川さんやN島姉妹が到着されていた。私達もテント設営して、買出しに出かける。釣り組を待ちきれなくて、ボチボチと水炊きにとりかかる。
 今年はいつもよりテントが少ない。不況だから・・・ でも、お土産を届けた黒木さんから、暖かいおにぎりをたくさん差し入れていただいた。ほんわかな気分になるね。
 釣り組のハゼの唐揚げや煮ものをいただき、海のそばにいる雰囲気に酔いしれる。
 どうしても話題はマラソンのことに流れる。
「4時間30分で帰ってきたら、坂手港から"さんふらわあ"に乗って、みんなと一緒に帰れるよ」
「5時間過ぎてもお迎えの車なんて来ないらしいよ」
 もうあまり聞かないことにしよう・・・ ますます、落ち込んでしまう・・・
 21:00 今夜もいい子は早く寝る。

11月25日(日)晴れ
 6:30 ずっとグラウンドの明かりが煌々と照り、眠ったのか眠らなかったのかわからない感じで朝を迎える。右目の瞼がプクッと腫れているよぉ。
 サンドイッチとうどんの朝食。みんなにアドバイスいただき、"いいちこ"という焼酎の紙パックにバナナを入れて、25km地点にセットする。
 昨年走った時、マメができた靴は少々気になっていたので、思い切って7,900円のシューズを買う。靴下も滑り止めがついている方が靴の中でずれなくてよいと言われて、700円奮発する。長袖の方が身体が冷えなくてよいと、そして手先が冷たくなるからと、軍手を貸していただく。
 スタート地点に並んでいると、I信先生とS原さんが励ましに来てくださった。
「福田港から帰るつもりで来ているから、ゆっくり走ればいいからな・・・」と。
「ウン。どうもありがとう・・・」
 9:30 ハーフより10分早くフルがスタートする。今回は独りで走るんだ。
 町を出て、海沿いになると潮の香がする。11月とは思えないポカポカ陽気で、貸していただいた軍手で汗を拭く。何故か海藻の匂いがする。
 ダイエットしたわけではないけど、スムーズに走っている感覚がある。○○qという表示がないので、ペースがあまりわからない。
 10:22 ハーフを走っているS原さんに追い越される。
「結構早いよ。もっとゆっくりでいいよ」と。
 10:24 10q地点通過。54分。もう少しペースを落とそう。
 ハーフの折返し点からは、急に淋しくなるが、木々の紅葉、花壇の葉牡丹に季節を見る。沿道の人が旗を振って応援してくれる。「ねえちゃん、女性で26番」
 ダラダラ長い上り坂が続く。そして、ドーンと下る。復路はこの坂を走れるだろうか・・・ 給水所では、水やレモン水の他に、キャンディやキャラメルが差し出されるようになるが、私は水で口を濡らす程度がよい。
 11:32 フルの折返し点まで来た。2時間02分。半分来たと思ったら、すごくうれしくなってきて、気持ちが高揚しているのがわかった。でも、少々足が痛くもなってきた。
 25km地点で"いいちこ"はすごく目立っていた。でも、とてもバナナなんか食べる気がしない。
「これ、私の。いらないから誰かにあげて」と、係りのおねえさんに差し出す。突然"いいちこ"を差し出されて、おねえさんはポケッとしていた。
 あの急な上り坂に入る。歩いてはいけないと思って、走っている格好だけの超スローで走っていると、な・な・なんと、歩いている人に追い越されてしまった。
「エッ、ウソ・・・ もういい、私も歩こう・・・」
 ドンドン追い越されていく。でも、足が痛い。給水所でエアーサロンパスをガンガン吹き付ける。親指ほどのかわいい海苔の巻いたおむすびとお漬物が出されて、皆立ち止まって食べているけど、私は全く食べる気がしない。ミカンなら食べられるかなと思ったけど、かじっただけで、すぐ出してしまった。レモン水が一番美味しい。
 13:00 あと9km地点に来る。足が痛いし、あの上り坂があるから、あと1時間で9kmは走れない。もう"さんふらわあ"には乗れない。
 13:30 あと5km地点。これから最後の上り坂がある。走ったり、歩いたりの繰り返し。
 13:46 あと3km地点。エッ、この上りに1km8分もかかってしまった。下り坂は嘘のように走れるけど、まっすぐになるともうダメ。
 14:00 あと1km地点。もう少し、頑張ろう!!!
 ゴール近くでは、M本さんと柴原さんが、ビール片手に手を振ってくれた。
「ごめんね・・・(遅くなって・・・)」
 4時間36分45秒。とにかく完走できて、もうそれだけで、超うれしい!!! 靴につけたRCチップを外していると、S原さんが「これから、坂出へ行くって・・・」
 完走証をいただいて、S原さんの後をただ歩を進めていると、I信先生の車が目の前にスゥーと現れて、そのまま車に飛び乗る。
 もうテントも片付けてくれて、私のザックも乗せてくれてある。どうもありがとうございます。I信先生は飛ばしに飛ばす。途中、老人車のおばあさんとぶつかりそうになった。
「ごめんね、ごめんね。あと、5分は無理だけど、2分位は頑張れたかもしれない」
 14:45 出航間際の"さんふらわあ"に、間一髪で乗り込む。
 N川さんから「よく頑張ったね」と言っていただいても、まだポォーとしている感じ。入浴を済ませると少し普通に返った感じがした。みなさんで乾杯していただく。落ち着きが戻ると、みんなの顔にも爽快感が溢れているのがわかった。あー、よかった、"さんふらわあ"に乗ることができて、ホントにどうもありがとう!!!
 神戸港でN川さんを見送り、私達は大阪南港から難波駅へ。I信先生の車に乗ると、腰が痛くて普通に座れない。M本さんに温湿布してもらうと少し楽になる。どうして、こんなところが痛いのかしら・・・
 近鉄難波駅までS原さんにザックを背負っていただき、もう至れり尽せりのお世話になって家路についたのでした。

開けてみる パンドラの箱は 真珠貝
 今回、本当に至れり尽せりのお世話になり、どうもありがとうございました。何もわからずに妙な好奇心を抱いたばかりに、いろいろご心配おかけして、申し訳ありませんでした。最初は私が車を出すなんて言って、とんでもないことでした。でも、小学生の時のかけっこでいつもビリだった私がまさかフルマラソンを走ろうと思うなんて、YMCCはおとぎ話の世界です。ここにいると、ファイトが自然と溢れてくる。挑戦してみようって思えてくる。失敗することが怖くなくなってくる。勿論、YMCCには信頼できる確固たるベースがあるから・・・
 冬山中級に入る時もそうでした。ダイトレを走るのに、I信先生に当麻町まで送っていただき、M本さんに一緒に走っていただき、入校できたことを思い出しました。
 かなりの危なっかしい暴走をしてしまったけど、みんながいてくれたからこそ、無事にHAPPYに終えることができました。本当にどうもありがとうございました。
 あんなに痛かった足も腰も、月曜日にはまだ残っていたけれど、火曜日にはもうすっかり引いていました。なぁ〜んだ、ウソみたい。来年はもう少し頑張ろうかな。来年はみんなと一緒に走るのだから・・・

(2001.12.1.記)

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