大山滝 願い交えて とどろけり

視覚障害者全国交流・船上山合同会議と下見
2001.5.18.〜20.

5月18日(金)
 8:00 JR吹田駅集合し、ワゴン車2台で船上山へ向かう。
 14:00 船上山少年自然の家にて、時間ジャストに会議が始まる。地元行政、福祉、登山関係者、並びに近畿、中国地方の視障山の会という各方面の出席に、改めて身の引きしまる思いがする。
 議事はI藤議長の進行で順調に進んでいく。我故郷というT本さんの情熱が会場いっぱいにこだまする。地元行政関係者の声のトーンも反響している。
 また、地元ボランティアの方々の「私達は○○ができます。○○をしたいと思います。指示してくだされば、そのようにします。」とおっしゃる熱意に圧倒される。ボランティアという底から湧き上がってくるような力はものすごいものがあると感心する。その溢れんばかりの力をどう実際の行動に変えられるか、こちらの指導力が問われる。
 登山と記念コンサートの2つに分かれるこの催しについて、私個人が感じたことは、1つは膨大な数の人間が1ヶ所に集まるということと、もう1つは雨の場合のことである。食事は地元ボランティアの方々のご協力をいただくにしても、T本さん特有のめいっぱいのスケジュールの中、下山が少し遅れたりすると、影響が出てくる。コンピューターのように頑固なまでの計画を推し進めなければいけない。
 もう1つ、雨の場合。登山関係者は雨が降ろうが雪が舞おうが、気にも留めないであろうが、一般、高校生ボランティアには気の毒に思う。10月末の気温をよく考えて、代表者には気を付けて風邪などひかないようにご配慮いただきたい。
 16:00 これまた、キチッと時間通りに終了。可愛くコーヒーでお茶会をして、レディファーストでお風呂をいただく。日頃、フェミニストのYMCCの中にいると、他団体との交流の中では、ふっと戸惑ってしまうことがある。六つ星、かざぐるまと交流を通じて知り合った経過があるのに・・・
 夕食は食堂へ。少年自然の家なので、食事は子供並みと聞いていたが、いろいろ献立が豊富でうれしい。暫く菜食中心の食事にしていたので、スコッチエッグなんて頬が転んで落ちそう。
 そしてまた、規律もあって食堂では禁酒なので、小研修室に移る。硬かった会議から解放されたせいか、皆さんペースが速く、自己紹介が一巡する頃、宴は自然解散していった。誰かさんが持参された35度という焼酎が原因らしく、最後は搬出訓練をしてしまった。

5月19日(土)
 6:30 起床して、部屋、トイレのお掃除。朝食は食堂へ。
 8:30 下見は船上山周辺組と川床〜一向ヶ平組に分かれる。私は川床組に入り、赤碕町のきれいなバスで送ってもらう。
 9:30 川床よりすぐのところに今回話題になる橋がある。現在幅40cmを1mに替えてくれるらしいが、このままでも危険だとも思わないけど・・・ この今の緑陰を流れるせせらぎのすがすがしい感じをどうか崩さないでほしいと願う。そして、この橋を渡ってすぐ大きな岩があり、これも階段らしきものを備えてくれるらしい。
 青葉若葉まぶしく絶好の季節、京都山の子会のO杉さんが植物の案内をしてくださる。イワウチワとイワカガミ、ミズナラとコナラ、とか対比すると覚えやすいと。
 多彩な登場動植物・・・ クロモジ、ユキザサ、チゴユリ、エンレイソウ、ハシリドコロ、ホウチャクソウ、ヤブデマリ、マムシグサ、ニワトコ、ショウジョバカマ、ツルニンジン、エゾユズリハ、ミヤマカタバミ、ヨブツマソウ、ヤマブキショウマ、ハウチワカエデ、アズキナシ、タムシバ、ヤグルマソウ、ヤブデマリ、ウワバミソウ、サンカヨウ、シライトソウ、ミツバカエデ、ハクウンボク、ネムノキ、ウツギ、ヒロヒロ、ヤマナラシ、etc そして、大山代表種ゴジュウカラ、ダイセンなんとかマイマイ。
 10:40 こんなにゆっくりでいいのかなと思いながら、岩伏分れ。
 11:40 県のK田さんが赤白交互に塗った棒でぬかるみを測ってらっしゃる。ぬかるみに板をひいてくれるらしい。案内板が雪の影響で倒れかかっているのも起こしてくれるらしい。時々、昔参道であったという石畳が現れる。まもなく、木々の間から特異な甲ヶ山が見えてきた。
 12:30 やっと大休峠。ログハウス造りのりっぱな小屋がある。大山縦走路にユートピア小屋が見える。この周辺の草刈もしてくれるらしい。
 13:00 暫くサポートしてないので、O島さんのサポートをさせてもらう。O島さんは「足が痛くて心配だったが、だんだん調子良くなってきた」とおっしゃる。この森林浴に囲まれたら自然とそうなるよね。右に雪が少し残る大山が見渡せる。
 14:15 大休口。一向ヶ平の管理人、M本さんは「300年前からある大山地蔵が12体あって最近3体消えた。不思議だなぁ」という話をなさる。そのM本さんの背負いカゴは籐製の手作りのようで、ゴミを入れるのに便利良く作られたそう。そういえば、川床から全くゴミ一つ落ちていなかったっけ。こういう方がいらっしゃって、この山は守られているんだなぁと感服する。
 14:50 大山滝を見下ろす展望台も設置してくれるらしい。100mはありそうな名爆で、豪快だから転落防止の柵はほしいかな。
 15:45 一向ヶ平に着いて、町のバスで自然の家まで送ってもらう。
 16:30 自然の家でそれぞれ結果報告。
「無線は川床から岩伏分れまで全く入らないので人が走って対応する。また、船上山頂上に無線基地局をおき、各隊は発信せず定期交信で全体を把握する。」とおっしゃる鳥取県労山のY田さんに頭が下がる。
 夕食、入浴と終えて、再度意見交換となる。主な話題は川床からすぐの橋の改修についてで、幅1mの橋に替えるのは決定済みで、手すりについては結局つけないことになった。
 それからのことは、いつものメンバーで夜が更けていった。

5月20日(日)
 規則正しく起床して、お掃除して朝食をすまして、自然の家を後にした。
 蒜山の塩釜ロッジというキャンプ場で山菜のてんぷらやおひたしやベーコン炒めをいただき、大阪へ帰ってきたのでした。3日間どうもお疲れ様でした。

緑陰を 過ぎゆく水に シジュウカラ
 今回行政側の積極的な対応に目を見張ってしまった。船上山に関しては三瓶山と共に障害者の山としての代表となるように、登山道の整備、点字の案内板などの設置をしていただけるようで、ありがたいことと思う。
 けれど、今までの自然を守りつつ、そういう山になってほしいと願う。国立公園として危険と思われるところは整備していくべきであろうが・・・ 今回話題になった川床からすぐの橋の改修についても、どうか現在の爽やかで清々しいと感じられる風景は残してほしいと願う。横尾の橋が1年前コンクリートの橋に替わり、興醒めしたことがあった。
 橋の幅が狭かったら、白杖で幅を確認してから晴眼者の真後ろをまっすぐの姿勢で歩く。大岩があったら、手で触りながらまたぐ。ぬかるみで転びそうだったら、注意して歩く。視障者も晴眼者も山を歩く時、そのように考えて歩くことを勉強してほしいと思うし、山から教わってほしいと思う。それがまた、楽しいんじゃないのかしら・・・

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