広がっていく視障者山の会
2001年に行われる交流登山の下見山行が、先月設立されたばかりの岡山こまくさ、広島友遊の視障者山の会の方々、そして10月6日、鳥取県西部地震があったばかりの赤碕町、鳥取市、米子市の方々も参加されての山行となった。
最近の全国的な視障者山の会の発足は目の見張るものがある。富山、新潟、そして四国、九州まで・・・勿論、彼らを支援されてきた方々のご努力の賜物なのだが、とても素晴らしく、とても嬉しい時代に入っている。
また、地震の被害に屈せず、予定通り山行を受け入れてくださる地元の方々との交流も楽しみの一つとなった。
10月27日
20:30 JR三宮駅に降り立ったのまでは、バッチシだったんだけど、通勤の行き交う人々に流されて集合場所がわからない。ウロウロしていると、N川さん、I藤さんから、携帯電話が鳴り、"東急インの前"と教えてもらう。こういう時ってケータイの威力を感じる。
こういう田舎者のために20分程遅れて出発。スンマセヌ・・・
10月28日
大型バスは、親水キャンプ場あたりをウロウロしながら、深夜船上山登山口に到着。先行してT本さんが張って下さったテントで即、仮眠。一部の不眠症(?)の方々を除いて。
6:30 天気予報通り、今にも降り出しそうなどんよりとしたお天気。
8:00 各会、各団体の挨拶、CLN川さんより注意事項がある。
8:30 下見コースは@船上神社A勝田ヶ山B横手道の3つに分かれ、私はA勝田ヶ山コースへ。噂の茶園原から見上げると、松林を背負った屏風岩が行儀良くきれいに並んでいる。
8:50 一旦農道に出て、船上山への急登に入る。
9:30(615m) 笹原を抜けると、船上山頂上。来年までに改築するというトイレを拝見。避難小屋にもなっていて、山のトイレってこんなものじゃないのかな・・・
行宮碑から、はるか向こうに特異な形の甲ヶ山、そして勝田ヶ山の稜線の下に雄滝が見え、S々木君がかざぐるまHP用にとデジカメで写真を撮る。1週間後ぐらいが紅葉ピークってとこかな・・・
10:00 鬱蒼とした中に船上神社がある。建武中興の時、後醍醐天皇を擁して旗揚げした名和長年を祀っている。春に来た時の船上山麓の桜の艶やかさとすごく対照的で、それはまた、後醍醐天皇の栄枯盛衰ともダブるのは考え過ぎだろうか・・・
10:10 船上神社の後方から勝田ヶ山への縦走路へ。雨がポツポツしてきた。見上げるとブナの大木に大きなツキヨタケが群生している。真っ暗の中で見たらきれいだろうなぁ・・・
11:45 あともう一登りというところに少し広場がある。高度を上げるに従って、ブナの黄葉、もみじの紅葉が雨に洗われてだんだん色味を出してきた。展望はあまりきかないが、木々の間から大山北壁を覗く。広葉樹の森林浴を身体いっぱいに感じる。
12:15(1210m) 勝田ヶ山頂上は東西が切れていて少し狭い。雨の中、霞んで甲ヶ山が見える。M本栄子さんが無線を飛ばす。携帯電話もかけてみる。どちらも感度良好!!!地震の被害なんて全く感じないで登ってきた。当初予定していた大休峠〜一向ヶ平コースは地震の為通行止めになっているらしいが、どの程度なのだろうか・・・
12:30 「下りのサポートは背の高い人のほうがいい」と言われて、またS原さんに代わる。粘土質で滑りやすく、木の根っこも滑りやすく、苦労する。雨で濡れているし、急斜面だし、大きな倒木が横たわっているし・・・
視障者は倒木がお嫌いのよう。私達が歩く道を邪魔している訳だが、これらの倒木は何百年も前にこの地に芽生えて成長し、この山に、この山麓の人々に恩恵を与え、貢献して、今ここに倒れてもなお、菌類という恵みも与え続けている。あとから入ってきたのは私達の方で、都合のいいところへ道を作っておきながら邪魔だと文句を言う。そうかと思えば、キノコ眼の者は倒木を探す。「誠に勝手で申し訳ありませんが、少し私達にもここで遊ばさせてくださいね」とお願いしたいと思う。また、倒木をまたぐのは木に直接触れられるし、ご自分のコンパスの長さもわかって、おもしろいんじゃないかなと考えるのは失敬かな?
広島友遊の視障者はまだ山に慣れていないせいだろうか、身体を斜め向けて歩いている。広い道ならよいが、視障者はサポートの真後ろをまっすぐな姿勢で歩かないと危ない。
天皇屋敷跡の分岐を過ぎ、船上神社手前に来ると、フッと鼻がピクピクした。振り返ってクマザサを掻き分けるとブナの倒木にウワァー・・・目が点になるってこういう時のこと・・・ブナハリタケとムキタケがスーパーの袋にドサッとなり、もうルンルン・・・でも、根こそぎではなく、小さいのは残しておきましたよ。キノコって眼で探すのじゃなくて、鼻で探すものなのかしら・・・
14:30 船上神社から、また粘土質の滑りやすい道を下る。落ち葉の感触を楽しむ余裕などなく、気を遣う。ここをソフトコースと名付けるのは誤解を与えないだろうか? 昨年の六つ星主管の上高地全国交流では、上高地から明神池散策がソフトコースだった。
船上山から少し下ると、屏風岩への道があるので、見学に行く。赤碕山岳会のY原さんが鳥取県国体の競技場所と案内してくださる。かなり難しそう・・・
15:45 登山口に全員無事に戻って、バスで親水キャンプ場に移る。
テントを張って、食担の人達はキノコ鍋の準備。私は会計で数字とニラメッコ。いつもよりキノコは少なかったらしいが、ブナハリタケが大きいまま入っていて満足、満足!!センボンクズタケのかき揚げ、W辺さんが採ってくれたムカゴの素揚げ、コウゾリナのバター炒めと美味しいものばかりよばれる。
地震の後遺症もなく赤碕町長も参加されて、キャンプファイヤーを囲んでの原田義雄さんのギターコンサートと、雨も上がって夜は更けていった。
10月29日
6:30 目覚めると、もう朝食ができあがっている。食担様ありがとうございます。餅うどんと葱焼きをいただき、贅沢な気分・・・
片付けして蒜山に向かうが、地震の為、通行止めになっていて、大山を左回りに一周する。大山寺、桝水とドライブして、蒜山の快湯館で入浴、粋呑房で昼食と報告会。
少し小雨にあっただけで、地震の影響もなく地元の方々の歓迎を受け、新しい会のはつらつとした雰囲気を感じ、多くの協力者により下見の成果もあり、かざぐるま実行委員はじめ皆様、たいへんお疲れさまでした。
P.S.
かざぐるま実行委員の方々には、誠に頭の下がる思いがします。綿密で細心の準備、きちんとした行動力はとても素晴らしいと絶賛します。このようなエネルギーが全国的な視障者山の会設立へと導いているのでしょう。
私は、かざぐるまの活動よりもっと山に登りたい気持ちが優先して、かざぐるまを離れました。でも今回のようにまた、かざぐるまの山行に参加できること、とてもうれしく、両会の方々に心より感謝申し上げます。
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