天高く YM肥ゆる 錫杖岳

2000.9.28.〜10.1.
縁のない山?
 ずっと山をやっていると、縁のない山、チャンスを逃がしてしまう山が幾つか出てきてしまう。錫杖岳も私の中でそういう山になってしまうのかな?と思い始めていた。錫杖岳は、昨年台風で中止になり、今年は月末の木曜日の夜からで、難しいかなと思いながら、なんとかかんとかしてみよう、と調節してみた。
 秋雨前線が去り、天高くキノコ肥ゆる、まさに抜群の季節なのだから・・・

9月28日
 理事会の召集令状が速達できており、いつもT橋さんからは、「委任状の○ッチャン」なんて言われていて、この日もかなりの遅刻で、連盟事務所に出向いた。
 会議の熱気はビンビン伝わってきて、理事会の開催を隔月にする案では皆必死で反対している。私はやはり恵まれているところにいるせいか、そんなに感じないんだけどなぁ・・・
 中級の同級生に会って、久しぶりに話の花が咲く。彼女はS会だが、P会の人達とガンガン登ってるという迫力に圧倒されてしまう。みんな、頑張っている。
 22:00 JR茨木駅集合して、私はK原車に乗る。名神から東海・北陸道に入るとパタッと車が少なくなる。荘川インターで下りるが、来週からは、清見インターまで開通して、ますます便利になるそう。高山、平湯を経由して、中尾口の駐車場に着く。

9月29日
 さっき寝たばかりなのに、もう行くの? まだ、身体が山モードになっていないというのに・・・
 7:40 やっとこさ、身体を起こして、クリヤ谷の道を登る。
 とたんに、汗がボトボト吹き出る。中級に入ってから、汗が顔に出てくるようになった。それまでは、病気かと言われるくらい、顔に汗は出なかった。以前、踊りの先生が「意識すれば、顔に汗をかかないようにできる」と聞き、そう努力したこともあったが、もうそんな時代には戻れないような気がする。
 暑いというより、リュックが重い。ベース方式だからって、甘かったなぁと反省。
 クリヤ谷の川を渡って暫くすると、前衛フェースが仰ぎ見られる。懐かしいなぁ・・・紅葉にはまだ早かったねぇ。
 9:20 錫杖沢には金曜日だというのに、先客がいて、川原の少し上に笹を押し倒して石を積み上げて、テントを張る。
 10:10 錫杖沢をつめて、取り付きへ。
 10:50 K原さんとKさんと私のパーティは、N川さん、I信さん、H野さんパーティと同じ左方カンテを登る。
 11:30 1P 「ラクッ」I信先生の登っている左の凹角から大きな落石。先生は右の凹角へ移動。K原さんは一番左の松の木のあるカンテを登っていかれた。
 2P 凹角の難しいところを登っている先生の左を登る。
 3P やっと名前通りのカンテにきてトラバース。気持ちいいなぁ・・・ 雪の全くない穂高の稜線、噴煙を少したなびかせている焼岳が見渡せる。
 4P チムニーがうまく登れない。
 5P フェースを頑張って少しA0で登るが、アブミで登るべきだったと反省。
 6P 嫌いなチムニーと思うから、また落ちてしまった。一瞬どうしようか、と迷い、アブミを使う。
 7P フェースを、右側の木の根っこの方を登る。抜け出るところに浮いた大きな枯れ木があり、落としそうで危なかったよ。
 16:10 終了。先生の声だけ時々聞こえるけど、姿は全く見えず。これ以上遅くなったら真っ暗になってしまうよ。無線も入らず。
 16:40 そのまま真上に岩を登って、稜線に出て、烏帽子岩を巻いて、薄暗い中、笹の持ちまくりで下山。ズルズルしてあまり早く下りられない。真っ暗になりかけた頃、「ガサガサ」の音。熊らしい。ライトを点けて人間様がいること、アピールする。K原さんは口笛を吹かれている。
 19:00 三日月の中、ベースへ。やっと、無線が通じて、K原さんは下山道を指示される。
 22:00 無事、先生達が帰られた。「おかえりなさい」
 終了点でもう真っ暗だったという。あの稜線、切れているところが何箇所かあり、怖かったと思う。YMの先輩達はすごい。先生はオールリード。スゴイスゴイ!!! 明日は先生のお誕生日だという。ダブル・おめでとう!!!

9月30日
 昨夜、あんなに遅かったのに、どうしてこんなに早く起きられるの?
 7:05 クリヤ岩舎から3ルンゼを目指して登り、左へトラバースして、1ルンゼの取り付きへ。
 7:55 「ゲッ・・・」なんか全然感じが違う。中級の時は1P2Pカットしたから?
 8:15 1P ルンゼの左のやさしいところを選んで登る。
 2P スラブをヌンチャクに足をかけて登る。私の前に割り込む人あり。もう・・・
 3P スラブを楽しく登る。少しイヤーな雲が見える。
 4P アブミでクラック、そしてハングを左に回り込む。お助けシュリンゲに助けられる。ポツポツ雨が・・・
 12:00 懸垂下降。無線を飛ばすが通じず、携帯電話でベースのN川さんに連絡する。
 3P懸垂して、バンドを下りて取り付き、岩舎を通ってベースへ。
 14:20 「2日間どうもありがとうございました」の乾杯をして、きのこ探検隊のきのこ鍋をいただく。ブナハリタケのシコシコ感で頬が落ちそう・・・ 雨はサァーと降っている。早く下りて先生のバースディパーティをしよう・・・
 16:00 雨は止み、熊に遭わないうちに下山しよう。
 17:30 中尾口の西穂屋といういつもの温泉に入って、買出しして新平湯温泉の屋根を借りて、雨の音に負けない静かなバースディパーティが始まった。

10月1日
 まだ薄暗いのに、バタンバタン・・・ 今日はもう登らないのだからゆっくり起きればいいじゃない・・・
 今日は一日かけて帰ればいいので、やっぱり、という感じで高山の「甚五郎」「山車」に寄り道して、大阪へ帰ってきたのでありました。
 ひとつ問題です。さて、「甚五郎」「山車」って何屋さんでしょう?

home