体調の悪さはトレーニングで治す?!!
新年より多忙きわまり、ここ数年かかったことのない風邪をひき、体調が戻らぬまま、いつのまにか桜花らんまんの季節を迎えていた。
4月初め、HCかざぐるまより"救助訓練に参加する"という連絡を受けた時、何故か「私も行かなくっちゃ・・・」と、思ってしまい、フワフワもぐり込ませていただいた。少し時間があくと、ただなんとなくだけど、行きづらいっていう思いもあったので、ラッキー!という気持ちにのっかっていった。
久しぶりの山の空気は、やはりスゴクおいしかった。でも、体調がイマイチで、なにもトレーニングしていなかったので、階段上るのも、ヒーヒーハーハー・・・
そんな時、M本さんがおっしゃった言葉は、とても衝撃的だった。
「体調が悪い時は、トレーニングして治すんだ。」
「エエッ!!」
でも、そのとおりかもしれない。ジッと内にこもっていても、なにも変わるわけじゃない。なにかを動かせなければ・・・
今期初めての雪山になるけれど、"春山に行くんだ"と、目標をたてよう。メチャクチャのようだけど、とにかく目標をもとう。今より、少しはマシになるかもしれない。
ボッカ、ボッカのトレーニング
トレーニングは、ボッカ中心に行われた。12人という長い列なのに、間があくこともなく、皆ガンガン歩く。私はついていくだけで、もう精一杯。まして、20kgのボッカは、正直きつい。こぶしの白、つつじのピンク、つばきの赤、そして、馬酔木の香りが自分の汗と共にすがすがしい。
昨年と比べると、やはり即席の感が強く、不安は隠せない。後は、軽量化に努めてみるしかないかな。
ルートは、昨年の完結編のエピローグをたどろうという計画なので、物語がまたひとつ増えそうで、楽しみであった。
5月2日
23:00 登り口と下山口が同じところなので、車組と電車組に分かれ、私は、K原さんの車に大津から乗せてもらうことになった。
高山を通って、新穂高に入る。高山は今、八重桜が満開。
車の運転も代わらずに、仮眠。
5月3日
8:45 電車組とI信車と合流して、槍平をめざす。
「仮眠しなかったの?顔がむくんでるよ。」と、初日から言われてしまい、やっぱりどこかおかしな自分を感じてしまう。でも、アルプスに入っているという気分だけで、敏感に高揚している自分もまた、そこにいる。
10:30(1320m) 今日はとてもお天気がよくて、穂高平の牧場は、雪一面でまぶしい。私はこのコースで槍をめざすのは初めてなので、キョロキョロ。クリヤの頭、中崎尾根、ドッシリ孤高な風貌を受けてしまう。
12:25(1500m) 白出沢を過ぎて、右俣谷までガンガン下り、また登って、滝谷へ。雄滝と雌滝があって、いつもなら雄滝が見えるのに今年は雪に隠れてしまって雪の壁しか見えない。そう、滝谷小屋もスッポリ埋まって屋根がほんの少し見えるだけ。
南岳を右に仰ぎながら歩いていると、上部で点発生表層雪崩があり、皆「ああー」と見ている。小規模なので、ここまでは達しないという判断が素早くできる方達ばかりだけど、私はすごく焦ってしまう。
15:30(1900m) 槍平も雪が多く、11人で踏み固めてテントを張る。穏やかな気候すぎて、こんなお天気ずっと続く訳がなく、天気図を書こうと気象通報を聞くが、山に囲まれているせいか、雑音ばかりで全く聞こえない。
今日の夕食は、昨年同様、S司さんのごついステーキで、いつもながらに感心する。それにしても、皆スゴイ。缶ビールが、溢れんばかりにでてくるし、ゆでタコ、豚の角煮等、下界よりも超グルメをいただき、軽量化ばかりを考えている自分が恥ずかしい。
5月4日
昨日、天気図書けなかったので、ラジオを聞いておくように指示される。相変わらず雑音ひどくて、あちこち触っていると、短波から、気象通報が流れてきた。帰ってから調べてみると、毎朝5:30より短波で気象通報が放送されている。特にこのGWの期間中は、5:20より春山情報もプラスされて25分間放送されていた。下調べができていなくて皆に迷惑かけてしまった。
6:20 重いステーキのために足を痛めて下山されるS司さんと別れて、槍ヶ岳をめざす。素晴らしい青空の下、先頭を歩かせてもらうのはすごく気持ちがいい。すぐ後ろを歩く新人のY下さんに「すごく歩きやすい。」と言ってもらって、ますます上機嫌で歩が進む。
8:10(2450m) 「あれが槍じゃない」と、K原リーダーがつぶやく。「エエッ!」左の方向にノコッといつのまにか現れていて驚く。どことなく印象が違うなあ・・・
9:30 クラストしている急斜面を蹴り込んで登っていく。やがて、風も強くなり、アイゼンと雨具を着ける。
10:55 飛騨乗越を過ぎると、青空が全く消えガス一面となる。
11:10(3000m) 槍ヶ岳山荘からは、槍の穂先がガスったり、たくさんの人を迎えたりしている姿が見える。数珠繋ぎなので、穂先には登らないこととなる。
西鎌尾根のルートを見ていると、O野さんがリーダーに、
「ビール買ってもいい?」と、聞いてらっしゃる。
「エエッ!ビール?」
中級の頃、大山のユートピア小屋で、まだこれからたいへんな下降があるという時に、YMの先輩から、お茶のような飲み物を勧められたことがある。「まさか・・・」と思いながら、手を伸ばしそうになったっけ。同級生のI庄さんは、うれしそうに手を伸ばしていたっけ。このような風習は、自由であることの裏表なのかしら・・・
11:45 結局、ビールはおあずけとなり、西鎌尾根を下降する。トラバースの危険なところは、リーダーがザイルを張ってくれる。
13:00 左ずーっと向こうに真っ白な笠ヶ岳が見えてきた。北アルプス全部見渡せるほどの抜群の快晴なのに、立山方面の山にレンズ雲。N川さんにお聞きすると、「あと、3時間」とおっしゃる。天気図をとっていないので、少し不安。天高くひこうき雲も駆けている。
10人の列は、とてつもなく長い。後ろから3番目を歩いている私は、少し歩いては立ち止まり、また少し歩いて立ち止まるという繰り返し。時々、後ろを振り返ると誰もいない。まんだら模様の雷鳥は我々に愛想もしないでマイペース。
16:50(2600m) やっと、やっと、硫黄乗越。まさか、天気図のとれない時間になるなんて思わなかった。気持ちを立て直して、雪のブロックを作る。
今夜もビールをいただき、焼肉にフレッシュサラダという超グルメをいただく。
就寝は22:00と決められたので、少しオーバーさせてもらって、天気図をとる。ザーザーガヤガヤ聞き取りにくいが、高気圧が東シナ海にあるので、明日も良さそう。でも、明日のルートは変更されて、オオノマ乗越から下山となる。内心ホッとした気持ちになったのは、私だけ?
5月5日
素晴らしい快晴。360度の展望。人文字を作って記念撮影。
7:50 ゆっくり出発。快適な稜線歩き。
9:05 樅沢岳の登りになると、左側が雪庇になっているので、リーダーの指示により、間隔をあけて慎重かつ素早く登る。
9:35(2755m) 樅沢岳頂上からスキーヤーが急斜面を滑っていく。恐る恐る覗き込むと大胆なシュプールを描いて・・・アッという間だったなあ。
11:40(2550m) 稜線上をたどって、弓折岳手前より下降する。昨年はここまでなかなかだったけど、お天気がいいとこんなに違うものかなと、フ・シ・ギ・
本当の弓折岳の方が標高が低い。また、高気圧のために高度計の表示が変わるという。
鏡平へ寄らずに、直接小池新道へ。おニューの雨具でシリセード、シリセード。シリセードは、斜面の角度が微妙に影響する。また、2番手の方がスムーズ。これまでの緊張感が一気に解れ、童心に帰ってしまった。
14:00 ワサビ平にて、「おつかれさま」の乾杯をする。塩をかけた生キャベツをパリパリ、皆おいしそうに食べてくれる。重い思いをして持って上がったのに、今夜の食材なのに、なにか妙な気持ちになる。
新穂高までの林道の途中、3月にあった雪崩跡があり、未だに見つかっていないらしい。新しいきれいな花が痛々しい。やがて、錫杖岳が見えてきたが、昨年と違って3ルンゼは雪で真っ白。
新穂高に戻り、K原Kさんとお風呂に行くが、さすがにGW。いつもの西穂山荘は断られ、ウロウロしたが、結局また、西穂山荘をたずねると、ナントご好意で入れてくださった。
今夜は、登って下りてきた食材での夕食。
5月6日
な・な・なんと、今日も快晴。
高山で、観光巡り。ゆっくり散策して、飛騨牛をいただいて、下界の環境に身体を慣らして、帰ってきました。
後遺症に悩む日々
晴天続きで雪焼けというより、ひどい火傷を鼻とオデコに浴びてしまった。日焼け止めクリームを塗っていたのに盲点もあり・・・皆は痛くなかったのかしら?
また、皆スゴイボッカ力。男性に限らず女性軍も。登山口で、リーダーが私のザックを持っておっしゃった。
「エエッ、これで農協米11個入っているの?」と。
出発の時、何キロあったのかなんてとても恥ずかしくて言えない。これからは、私の
登りたい山、登れる山を探してゆきたいと思う。本を見て、資料を集めて、いろんな人に話しを聞いて・・・
とにかく、以前より少しマシになったように思う。自分自身と、上手なお付き合いをして、だけど一歩だけ背伸びをして・・・
春山へ行ってよかった。きっかけは、ズルズルだったけど、K原リーダーはじめ、メンバーの方々、どうもありがとうございました。感謝、感謝。そう、あの時、お電話くださったかざぐるまのIさんにも感謝しています。
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